研究課題/領域番号 |
13558115
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
河野 健司 大阪府立大学, 工学研究科, 教授 (90215187)
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研究分担者 |
丸山 一雄 帝京大学, 薬学部, 教授 (30130040)
森本 惠治 大阪府立大学, 工学研究科, 助手 (20239693)
高岸 徹 大阪府立大学, 工学研究科, 教授 (50081336)
安河内 徹 日本油脂株式会社, 油化学研究所, グループリーダー(研究職)
柳衛 宏宣 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任助教授 (30212278)
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キーワード | 遺伝子治療 / 非ウイルスベクター / 遺伝子デリバリー / ナノバイオ / リポプレックス / リポソーム / デンドリマー / 生体材料 |
研究概要 |
本研究においては、細胞との融合を利用して、効率よく外来遺伝子を細胞内に導入する遺伝子治療用の人工ベクターの開発を目的とする。平成15年度は、膜融合とプロトンスポンジ効果の共同作用によって、遺伝子を細胞質内に効率よく移行させるベクターとして、膜融合性高分子サクシニル化ポリグリシドール(SucPG)とポリエチレンイミン(PEI)のハイブリッドポリマーを合成した。SucPGの含有率が41%および65%である2種類のSucPG-PEIハイブリッドを合成した。SucPGの含有率が65%のSucPG-PEIハイブリッドは、プラスミドDNAと複合体を形成せず、また、HeLa細胞への遺伝子導入を行えなかった。しかし、SucPG含有率が41%のSucPG-PEIハイブリッドは、プラスミドDNAと複合体を形成した。この複合体は、PEI-DNA複合体に比べて、最大で約40倍効率よくHeLa細胞へ遺伝子導入した。この結果は、適度にSucPGをPEIに結合させると、両者の相乗作用によって、高い遺伝子導入活性を発現する遺伝子ベクターが得られることを示している。一方、プロトンスポンジ効果および膜との相互作用によって、導入遺伝子の細胞質への移行を促進する新しいベクターとして、疎水性アミノ酸を結合したポリアミドアミン(PAMAM)デンドリマーを合成した。ロイシンをすべての末端に結合したPAMAMG4デンドリマーは、未修飾のG4デンドリマーとほぼ同程度の遺伝子導入活性を示したが、フェニルアラニンを結合したG4デンドリマーは、未修飾デンドリマーに比べて約30倍高い遺伝子導入活性を示すことがわかった。これらの結果から、ベクターに脂質膜と強く相互作用する機構とプロトンスポンジ効果を発現する機構を同時に付与することによって、細胞に効果的に遺伝子導入する人工ベクターが得られることがわかった。
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