研究概要 |
1)マルチスペクトル画像解析による脳機能計測 昨年度までの研究で構築した複数の狭帯域スペクトル画像を取得するシステムを用いて,モルモットの聴覚刺激時の脳機能を測定した.マルチスペクトル画像から酸化・還元ヘモグロビン濃度変化を定量化する場合,各波長の光が脳組織中を伝播した距離が必要となる.マルチスペクトル画像を主成分分析したときの第1主成分が脳組織中の光路長とヘモグロビンの吸収スペクトルの積と相関しているという昨年までの研究成果から,実験的に求めた光路長を利用して酸化・還元ヘモグロビンの濃度変化を画像化した.聴覚刺激開始直後にモルモットの聴覚野において酸化ヘモグロビン量が増加し,還元ヘモグロビン量が減少する傾向を捉えることができた. 2)脳機能のトポグラフィック画像の空間分解能向上に関する検討 頭皮に複数の入射-検出ファイバ対を配置して各ファイバ対の検出光量変化から脳機能を画像化する手法の空間分解能向上について,ハードウエア(ファイバ密度)とソフトウエア(画像再構築法)の両面からシミュレーションによる検討を行った.測定を行うファイバ対の間隔を4〜28mmに変化させて取得したデータを,一般に使用されているマッピングアルゴリズムと空間感度分布を用いた画像再構築アルゴリズムで処理し,得られた脳機能部位の位置と大きさの精度を評価した.位置に関しては,ファイバ対間隔が16mm以下になると,再構築アルゴリズムに関係なく良好な精度の結果が得られた.大きさに関しては,従来のマッピング法ではファイバ対間隔を小さくしても,20mmより小さな賦活領域の大きさは弁別が困難であった.これに対して空間感度分布を利用した方法では,ファィバ対間隔を小さくすることで,賦活領域が10mm以下であっても賦活領域の大きさを精度良く求めることができた.
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