研究概要 |
装着型人工腎臓を利用したBPDならびにalbumin(浸透圧物質)添加BPDシステムの溶質除去特性、除水特性、安全性等について水溶液系、腎不全犬を用いたex vivo系にて検証し、臨床応用時の有用性を評価した。 1)装着型大工腎臓:試作モジュールは研究分担者服部博行の所属する(株)ニプロにてすでに開発したが、その基本特性を水in vitro系にて検討し、改良を重ねた。その結果、実際に製造する諸条件を考慮に入れた至適モジュールの仕様を策定した。 2)BPD実験:システムの基本的な溶質除去特性を把握するため、腎不全犬を用いたex vivo系にて検討した。すなわち、尿管結紮したイヌ静脈内へマーカー物質を含有させた試験液を注入し、定常確認後カテーテルを介した腹膜透析液の一部流出入を開始しBPDを施行し、開始後の血中濃度、腹腔内濃度の経時変化を調べた。得られた変化に対し体内物質移動モデルによるシミュレーション解析を行い、腹膜を介した物質移動係数を推算した。マーカー物質としてはurea, creatinine, vitamin B12,inulin, myoglobin, albumin, IgG, IgM,総蛋白の9種を用い、drain流量、infusion流量等の流量依存性について明らかとした。 3)albumin添加BPD実験:albuminを浸透圧物質として添加したBPDの溶質除去特性、透水性を、腎不全犬を用いたex vivo系にて確認した。albuminとブドウ糖の種々の組み合わせの影響について検討した結果、ブドウ糖濃度1.0%、albumin濃度10%の組み合わせが浸透圧効果、コスト等を考慮した結果、もっとも現実的に有効と考えられた。
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