研究概要 |
アフリカツメガエルの系を用いて、精製トランスサイレチン(xTTR)や甲状腺ホルモン受容体リガンド結合ドメイン(xTR LBD)への[^<125>I]-3,3',5-トリヨードチロニン(^<125>I-T_3)結合におけるフェノールやフェノール化合物の影響、オタマジャクシのT_3誘導性の変態への影響、培養細胞でのT_3誘導性のレポーター遺伝子への影響を検討した。検討したハロゲン化合物のなかで、3,3',5-トリクロロビスフェノールAと2,4,6-トリヨードフェノールは、それぞれ、xTTRとxTR LBDへの^<125>I-T_3結合を最も強く阻害した。一般にハロゲン化合物は、xTR LBDへの^<125>I-T_3結合よりもxTTRへの^<125>I-T_3結合をより強い相互作用を示した。一般に、塩素化の程度の高い化合物の方が、xTR LBDへの^<125>I-T_3結合とxTTRへの^<125>I-T_3結合に強い競合阻害剤として働いた。水酸基対してハロゲンをオルトの位置のどちらかに持つ場合、またはオルトの位置の両方に持つ場合が、より効果的な競合阻害剤であった。アフリカツメガエルのオタマジャクシを用いた変態アッセイにおいて、3,3',5-トリクロロビスフェノールAと2,4,6-トリヨードフェノールは、T_3アンタゴニストとして作用した。面白いことに、o-t-ブチルフェノールと2-イソプロピルフェノールは、xTTRやxTR LBDへの^<125>I-T_3結合をあまり阻害しなかったにもかかわらず、オタマジャクシを用いた変態アッセイにおいて、T_3アンタゴニスト活性を示した。o-t-ブチルフェノール以外のこれら化合物のT_3アンタゴニスト活性は、培養細胞によるT_3応答性のレポーター遺伝子を用いたアッセイでも再現された。これらの結果は、幾つかのフェノールやフェノール化合物は、xTTRとxTR LBDへの^<125>I-T_3結合のプロセスまたはそれ以外の甲状腺ホルモンシグナル伝達系のプロセスに作用して、甲状腺系を撹乱するものと思われる。
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