ITS車々間通信用ミリ波高速無線データ通信方式の試験研究

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13559002
• 研究機関: 名古屋工業大学
• 研究代表者: 岩波 保則 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (40144191)
• 研究分担者: 木田 弘幸 日本無線株式会社, 担当部長研究開発部電波研究グループ
• キーワード: ITS / 車々間通信 / ミリ波 / 高速無線データ通信 / FSK / 非同期検波 / マルチパス通信路 / 軟判定系列推定

研究概要

本研究では、ミリ波を用いたITS車々間通信用の高速(25〜30Mビット/秒)ディジタル無線通信実用化方式の提案を目的とした。特にデジタルFM最尤系列推定等化器の理論を適用し、従来にはない耐マルチパス特性を有する高ビット速度車々間無線変復調システムの実用化の為の研究を行った。
平成14年度は、周波数選択性マルチパス通信路におけるGMSK信号やGFSK信号のターボ等化リミッタ・ディスクリミネータ検波方式のビット誤り率特性の詳細な評価を行うと共にその改良を行った。また提案方式のもう1つの方式であるFSKエネルギー検波系列推定方式に関しては、多周波FSKエネルギー検波系列推定方式の開発を行った。平成13年度までは2周波のみのFSKエネルギー検波系列推定方式あったが、本年度は16周波を用いた周波数ホッピング系列推定方式を提案し、大きな周波数ダイバーシティー効果を得ることができた。路面反射及び壁面反射を含めたより実際的な3パス車々間通信路モデルに対し、シミュレーション実験により、優れた耐マルチパス特性と低いビット誤り率特性を得ることができた。また平成13年度にシミュレーション実験用として購入したMathworks社製のMatlabとDSPハードウェアーであるカナダLyr Signal Processing社のSignalMasterを用いて受信機ハードウェアに関するcomplexity(複雑さ)の評価を行った。得られた成果は電子情報通信学会論文誌やIEEEの国際会議などで発表した(岩波)。
また車々間通信や路車間通信に使用可能な60GHz帯レンズホーンアンテナを設計試作した。本アンテナは路面方向への放射を少なくするためエレベーション指向性にコセカント2乗特性を持たせており、路面からの反射波を軽減することができる。このことにより直接波と路面反射波の干渉による受信電力の落ち込みを軽減できるので、安定した受信が可能になる(木田)。

研究成果

• [文献書誌] T.OKADA, Y.IWANAMI: "Turbo equalizer detection for GFSK digital FM signals"IEEE International Conference on Communications ICC'02, New York, USA, May 2002. Vol.5. 2952-2956 (2002)
• [文献書誌] T.IWANAMI, P.H.WITTKE: "Error Performance Analysis of an Energy Sequence Estimation Receiver for Binary FSK on Frequency Selective Fading Channels"IEEE TRANSACTIONS ON WIRELESS COMMUNICATIONS. Vol.2. 260-269 (2003)
• [文献書誌] 中野景太, 岩波保則, 岡本英二: "デジタルFMターボ等化受信方式によるマルチパス通信路BER改善の一検討"2003年電子情報通信学会総合大会大会予稿集. B-5-16. 475-475 (2003)
• [文献書誌] 佐藤勝善, 木田弘幸 他: "FM-CWレーダをベースとする安全運転支援通信システム(1)〜YRP共同研究におけるIVCシステムの開発〜"2003年電子情報通信学会総合大会大会予稿集. A-17-15. 344-344 (2003)
• [文献書誌] 三上太郎, 木田弘幸 他: "FM-CWレーダをベースとする安全運転支援通信システム(2)〜ミリ波レーダ統合通信システムによる車車間通信実験〜"2003年電子情報通信学会総合大会大会予稿集. A-17-16. 345-345 (2003)
• [文献書誌] 木田弘幸, 藤瀬雅行 他: "FM-CWレーダをベースとする安全運転支援通信システム(3)〜ミリ波レーダ統合通信システムによる路車間通信実験〜"2003年電子情報通信学会総合大会大会予稿集. A-17-16. 346-346 (2003)