アジア地域(日本、インドネシアのバリ島、ジャワ島、インド、中国)の死生観、ターミナル観を、文献法、およびインタビュー法により調査した。また質問紙の予備調査を分析し、項目分析の結果、いくつかの項目を足し、国際比較のための尺度(空想対話尺度、輪廻、終末論、死者との対話、神との対話、家族の死、抑うつなどの尺度)を含んだ本調査を作成した、これらの一部は、「死生観国際比較のための尺度作成について」として論文にまとめた。また、これらを英語、インドネシア語、中国語に翻訳し、前2者は印刷してインドネシア(バリ地区)、インド(ベンガル地区)の各地で実施し、一部回収した。残りは郵送回収の予定である。 継続しているインタビュー法では、ヒンドゥー文化圏における死後の魂の行方について、インドのナヴラトレ、モハラヤタルポンなどの習慣が、地区によって異なること、カーストによって異なることが確認できた。バラモンに強く残っている習慣であった。これらを「南アジアの死生観」として論文にまとめた。さらに、日本(沖縄)における諸インタビューで、死別におけるスピリチュアル・ペインを和らげる要因として、シャーマニズムのみならず、夢などもあることが示唆された。また、文化アイデンティティと死生観の関連も検討の必要を感じた。
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