研究課題
基盤研究(B)
本研究では、大邱市西部の月背地区を対象とし、文化人類学を中心的ディシプリンとしながら、歴史学・経済地理学・教育学を連携させた学際的アプローチにより、地域社会伝統の形成・展開とその現代的意味を検討した。近世以来の500年という時間を一続きの長期的射程で見直し、朝鮮時代に形成された社会伝統が、植民地時代および解放後から現代の都市化に至る社会の再編成に及ぼした影響、並びに現代の都市化過程における伝統の再創造などを、特定地域に即して考察することが中心的課題である。地理的環境に関しては、自然地理学的視点から朝鮮時代の集落配置の自然条件を明らかにするとともに、都市化以後の産業の変化および宅地開発状況を明らかにした。(李哲雨)朝鮮時代農村の経済的側面については、18世紀の土地調査文書である量案の分析の分析に基づき、17世紀前期から18世紀前期にかけての租岩坊地域の農業環境および土地所有状況の変化を明らかにした。(宮嶋博史)17世紀末〜19世紀後期の戸籍分析では、地域社会構成の持続性と流動性を、集落・親族集団・世帯の三つのレベルで分析し、自然条件に支配される集落の安定性に対して、親族集団および世帯の流動性の激しさを明らかにし、韓国の社会史/社会組織研究で重視されてきたトバギと呼ばれる地付きの親族集団の位置づけを試みた。また、戸籍と族譜という二種類の資料と当時の社会の実態との関係について考察した。(嶋 陸奥彦)植民地期の地域社会の状況については、1920年代に存在した私立学校について、そこに通った人々や関わった人々の子孫の方々との面接および公立学校に残された資料を利用して、設立から廃止に至る経緯、学校での教育実態および植民地教育行政との関わりについて詳細な検討を加えた。(古川宣子)大邱市の拡大に伴って月背地区はその市街地に組み込まれ、特に1980年代以降には準工業地区および住宅地区として本格的な都市開発が進められた。その結果、17世紀以来の集落のほとんどが姿を消し、トバギとして地域社会の中核をになってきた氏族集団も墓地の移転や構成員の転出等により様相を一変させている。朝鮮時代後期は、経済的には小農経営に基づき、社会組織的には父系親族制度が整備されて門中という親族組織が発達した時代である。本研究は、その一つの時代の幕開けから終焉までをカバーするものとなった。(嶋 陸奥彦)
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