研究課題/領域番号 |
13571015
|
研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
内藤 正典 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 教授 (10155640)
|
研究分担者 |
宮地 尚子 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 助教授 (60261054)
関 啓子 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 教授 (20107155)
|
キーワード | 文明間対話 / 非西欧世界 / 近代西欧的諸価値 / 文明差別 / 植民地主義 / メディア / 移民 / ニューヨーク同時多発テロ事件 |
研究概要 |
内藤正典は、平成13年9月11日の同時多発テロ事件以降の西ヨーロッパ諸国におけるイスラームおよびムスリムに対する意識表出の変化を現地調査した。そして、オランダでは宗教差別事件等が多発したこと、それは社会に通底する文化差別の顕在化であったこと、その暴力表出の抑止システムが存在しないこと等を、具体的事実として見いだした。 旧ソ連邦崩壊後の民族関係を研究する関啓子は、アゼルバイジャン・バクー市の小中学校、モスクワ市のアゼルバイジャン系小中学校において、民族間の葛藤の実態、その解決に向かう教育上の工夫、宗教文化施設の活動等を現地調査した。その結果、民族関係に関する比較教育学的研究を可能にする資料および視点を見いだした。 落合一泰はスペイン、イタリアで現地調査を行い、現代スペインにおけるラテンアメリカへの希薄な関心、近代初期にメキシコ学の中心を占めたイタリアにおけるその後の関心の衰微という、予想を覆す知見を得た。ラテンアメリカ側にはヨーロッパに対する高い関心が常在してきたことから、文明間の対話可能性という枠組みにおいては、この落差の考究が早急に必要との新たな認識を得た。落合は、それに向けての予備的関連調査と資料収集をメキシコで行った。 宮地尚子は、同時多発テロ事件後の精神的ショックと報復感情、戦争意識、ナショナリズム、移民への排他的行動などについて研究を行い、犠牲者・被害者をめぐる国内メディアの表象の実態とその偏向性に関する分析を行った。 以上の研究から、文明間対話の障壁の分析と可能性の模索という本研究課題を基礎づける各種データを蓄積することができた。
|