研究課題
基盤研究(B)
本研究の目的は次の5点に集約することが出来る。1.民族研究の文化力学的理論化2.文化力学の基礎的エスノグラフィックな研究3.中国民族関係の実体論的研究4.家庭内における民族教育の通文化的研究5.変貌期における民族間関係論の研究1.および2.において「文化力学」とは、近年中国において台頭してきた中華民族概念を中心として諸少数民族文化の関係性を問題とする。すなわち、56の民族を包括する概念としての「中華民族」が中国ナショナリズムの求心力によって統合的に顕在化するようになった。その一方では、一部の少数民族が伝統的多様性を遠心的に保持しようとしている。このような中国における漢民族あるいはナショナリズムの文化指向性は部分的に少数民族の文化のベクトルを相反する方向性を持ち、そこに文化のダイナミックスが見られる。3.については、より具体的にシボ族について記述分析した。4.については、国民教育と少数民族教育とを対比しつつ通文化的に考察しようとする今後の研究意図から、本研究でその基礎的資料を収集することが目的であった。今後発展させたい研究領域である。最後に5.は民族主義とナショナリズムの関係を、社会経済的変換期における葛藤状況の中で捉えた。少数民族文化の持続可能性は、国家政策により国語教育を強制して困難に陥るのみならず、漢民族との通婚増加傾向によっても徐々に、しかも確実に危機化しつつある。
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『民族文化の境界領域に関する文化力学的研究』科研報告書(丸山 孝一編)
ページ: 1-21
『民族文化の境界領域に関する文化力学的研究』科研報告書(丸山 孝一編) (所収)
ページ: 22-34
ページ: 35-57
民族共生の道(片山隆裕編著)(九州大学出版会)
ページ: 267-284
教育と医学 51巻6号
ページ: 56-59
九州大学大学院教育学研究 6
ページ: 55-75