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2001 年度 実績報告書

中南米の民主国家建設における先住民文化運動の役割

研究課題

研究課題/領域番号 13571020
研究機関九州大学

研究代表者

太田 好信  九州大学, 大学院・比較社会文化研究院, 教授 (60203808)

研究分担者 飯島 みどり  立教大学, 法学部, 助教授 (20252124)
狐崎 知己  専修大学, 経済学部, 教授 (70234747)
池田 光穂  熊本大学, 文学部, 教授 (40211718)
キーワードマヤ系先住民 / 和平協定 / 国家再建 / アイデンティティ / 文化運動 / 土着性 / グァテマラ:メキシコ / 国際研究者交流
研究概要

グアテマラにおいて締結された和平協定に盛り込まれた諸事項--なかでも本研究とは深い関係にある先住民の権利回復--の履行はすでに延長期間に入っているが、政府の動向はきわめて消極的である。また国内経済も、グローバル化による(主に繊維などの)外資系企業の工場移転、輸出農産物の価格下落、などに代表されるように、90年代中盤に比べていまだ回復していない。また、先住民非政府組織も海外からの援助金減少にともない、その活動を縮小せざるを得ない窮地に立たされている。このようにグアテマラを取り巻く経済、社会ならびに政治状況は、和平協定締結直後の希望的観測を大きく裏切っている。
そのような状況下でも、本年度の調査から以下のような知見を得た。まず、太田、池田と狐崎が調査したそれぞれ異なった地域(カクチケル語集落、マム語集落とケクチ語集落)では、内戦により集落内部での人間関係の崩壊や、集落そのものの破壊を乗り越える努力が、集落内部の自発的努力から生まれていたことが判明した。たとえば、カトリック教会の一派(renovacion catolica)は、この時期内戦の傷を癒すことを目的に創設されている。また、マヤ系非政府組織の主導による秘密墓地(軍が民間人を殺戮し、その死体を埋葬した墓地)の発掘調査も始まっている。この発掘調査が、マヤ系住民にとり記憶を歴史に変える力や恐怖の経験を癒す一助になるのか、あるいは人間関係の修復よりもさらなる悪化を生むのか、これから注目しなければならない課題として残る。飯島は旧ゲリラ兵士たちが自立生活する集落(サンマルコス近郊)において、国家再建の理想と和平後の現実とのギャップに苦しむ日常とそこから脱するための努力を調査した。飯島が見つけたのは、理想に燃えた歴史はすでに風化し、存在も忘却されようとしている兵士たちの現実であった。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] 池田光穂: "「医療と文化」について考える"教育と医学. 49・8. 34-40 (2001)

  • [文献書誌] Yoshinobu Ota(共著): "Anthropology Beyond Cultureに所収の以下の1章 Culture and Anthropology in Ethnographic Modernity"Berg(U.K.). 61-81 (2002)

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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