研究概要 |
本研究で計3回予定している本現地調査のうち,本年度は,平成14年3月6日から3月30日にかけて、第1回目の現地調査を行った。本研究のテーマは国際河川であるメコン川(瀾滄江)流域山岳地帯に住む少数民族の森と水の文化を明らかにすることである。今回は、中国雲南省西双版納州〓海県に所属する3郷内3民族3ヵ村を調査対象とした。それは、〓遮郷曼来村(〓族)、布朗山郷吉良村(布朗族)、巴達郷曼来老村(哈尼族)である。その村落調査に先立ち,〓海県政府、〓遮郷・布朗山郷両政府に対してもインタビュー調査を行った(巴達郷政府は調査できず)。 参加者は,研究代表者及び研究分担者の上田信(同じく研究分担者の比嘉政夫は都合により参加できず)、研究協力者として、杉浦孝昌・韋蘭春・時雨彰の3名,そして海外共同研究者として中国雲南省社会科学院民族研究所の鄭暁雲・鄭成軍・和鳳菊、同文学研究所の張雍徳、広東省民族研究所の馬建〓、の計10名であった。 調査項目は,本調査の主要テーマである森と水に関する少数民族の文化に即し,1.村落社会における森林政策・制度の影響、2.村落の歴史と自然環境の変遷,3.森林利用とその結果(森林利用に焦点を当てた生業活動の実態と慣習法、)、4.世界観(村落世界の民族固有の環境認識)の4つに分けた。そして、調査者を4つのグループに分けてそれぞれの小テーマを分担し、同一村落内で同時に調査を実施,並行して相互に討論しながら調査を進めるという、組織的手法を取った。それに先立ち,各村落が属する上位の行政単位(県、郷)では、全員で、その地域における森林政策の実態につき,インタビュー調査を行った。 今後,第1回目の調査結果をグループごとに簡単なレポートにまとめ,相互に討論し,来年度秋に予定している第2回調査に向け,より良い調査方法の模索と調査内容の充実を図っていく予定である。
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