研究課題/領域番号 |
13571022
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
松本 亮三 東海大学, 文学部, 教授 (20114655)
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研究分担者 |
大平 秀一 東海大学, 文学部, 講師 (60328094)
横山 玲子 東海大学, 文学部, 助教授 (50287041)
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キーワード | 中央アンデス / カイェホン・デ・ワイラス / ヤンガヌーコ / 金山開発 / レクワイ文化 / ワイラス文化 / 儀礼施設 / ミトマ |
研究概要 |
ペルー国北高地南部、カイェホン・デ・ワイラス地方に位置する、ヤンガヌーコ遺跡の発掘調査を行った。ヤンガヌーコ遺跡は、ペルー有数の高峰、ワスカラン山とワンドイ山の間を走るケブラーダ・デマンダ河谷沿いにひろがる遺跡であり、海抜標高3800mから3900mを数える。河谷両側の斜面部には露天掘りを行ったと思われる痕跡が広範に認められるため、本遺跡は、金鉱山とその開発基地であったとする仮説を立て、調査に望んだ。すでに、2001年度調査において、当該河谷の主要部(最下流部)の地形測量を行ったが、2002年度調査においては、1.鉱物標本の収集、2.A区(南東部の小マウンド)の発掘、3.C区(ユラック・コラルと呼ばれる石囲いのある区域)の発掘、並びに4.D区(大岩を利用して作られたユラック・コラル近傍の墳墓と思われる施設)の発掘を行った。その結果は以下の通りである。 1.についてはまだ十分な資料を収集することができなかった。2003年度も継続するが、周辺に金山が分布する現状等を考え併せれば、金山遺跡であったことはほぼ確実と考えられ、すでに掘り尽くされたものと結論づけざるを得ない。2.A区においては、少なくとも3期にわたる建築が見られるが、いずれも後期中間期(900-1470年)にあたると思われる。ここからは、北海岸に由来すると思われる土器が多出しており、鉱山開発のために海岸部から移民(ミトマ)が派遣されていた可能性が浮上してきた。3.C区もおそらくA区と同時期に利用された区域と思われる。床面を確認した結果3期にわたる居住区が確認されるが、地下式のダクトを伴った炉が散在しているのが特異な点である。強い焼成の跡がないことから、儀礼的な施設であったと思われる。4.D区においては、大岩の下部に予想された墓室には到達することができなかったが、明らかに人工的に作られた施設であることは判明した。また、この区域からは紀元前800年ころの土器が多数発見され、その周辺に古い遺構がある可能性が高くなった。
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