研究課題/領域番号 |
13571022
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
松本 亮三 東海大学, 文学部, 教授 (20114655)
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研究分担者 |
大平 秀一 東海大学, 文学部, 講師 (60328094)
横山 玲子 東海大学, 文学部, 助教授 (50287041)
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キーワード | 中央アンデス / カイェホン・デ・ワイラス / ヤンガヌーコ / 金山開発 / ワラス赤地白彩土器 / 形成期後期 / 国際研究者交流 / ペルー |
研究概要 |
2003年8月3日〜9月22日、ペルー、アンカシュ県ヤンガヌーコ遺跡の発掘調査を継続実施した。調査地域は、第I河谷G区およびH区であり、主たる目的は、先史時代に金の採掘が行われたと見られる本遺跡の、社会・文化状況を明らかにすることであった。1.G区は、海抜4000mの第I河谷北東端にある祭祀建造物群で、広場を含めほぼ200m四方にわたって広がる。主マウンドは、3つあり、最大のマウンドは、50m四方、高さ7mの規模をもつ。全体に堆積は薄かったが、ワラス赤地白彩土器が数点見られるほかは、無頸壺を主体とする土器群によって特徴付けられる。石造の地下施設、大岩を利用した祭祀施設などが分布する。土器特徴から形成期後期・末期(前500-200年)の建築だと考えてよい。2.H区において、大型の石造墳墓(第1号墓、高さ4m、幅2m程度、2体埋葬)、岩陰を利用し、石壁を巡らした墳墓(第2号墓、約6m四方、25体以上埋葬した集合墓)、および小規模の墓一基(第3号墓)を発見し、測量と清掃を行った。第1号墓も第2号墓も盗掘を受けているが、第2号墓は保存状態が良好であった。いずれも、土器はG区と同質で一様であり、形成期後期・末期の墓であると考えてよい。また、ここからは、スポンデュルス貝、およびそのビーズ、銀・銅製品、イモ貝の装飾品、ソーダ石やトルコ石のビーズが出土した。2号墓からは、上記の土器に共伴して、綴れ織り、二重織りを含む裂ならびに獣毛が発見された、なお、この地域における形成期の布の出土は前例がない。3.以上の結果、本遺跡が、古い祭祀施設複合を基に発達してきた遺跡であること、墳墓の副葬品が遠距離交易品を含んで多彩であり、比較的豊かな経済状況にあったことが推測された。このような状況と、後の時代に活発化することとなる金山開発との関連を今後集中的に調査することが、重要な課題となったと言える。
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