研究課題/領域番号 |
13571030
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研究機関 | (財)中近東文化センター |
研究代表者 |
高橋 忠久 財団法人中近東文化センター, 学術局, 研究員 (20260143)
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研究分担者 |
沖本 弘 財団法人竹中道具館, 主席研究員
中川 衛 金沢美術工芸大学, 美術工芸研究所, 教授 (80180256)
真道 洋子 財団法人中近東文化センター, 学術局, 研究員 (50260146)
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キーワード | 職人 / 街区 / 大工道具 / トルコ / バルカン / オスマン朝 / 伝統工芸 / 金属工芸 |
研究概要 |
2002年度は、ブルガリアでの現地調査を中心にロンドンでの文献資料調査を行った。現地調査はブルガリア科学アカデミー民族学研究所と連絡を取り調査申請を行い、同研究所の助言と協力を得て、ソフィアからバルカン山脈の北を通過し黒海に通じるルートと、その昔コンスタンティノープル街道と呼ばれイスタンブルに至るルート上の下記の都市を調査した。主な都市はトロヤンタルノヴォ、ガブロヴォボ、シューメン、カザンラク、コプリヴスティッア、プロヴティフなどである。実地調査は同上の民族学研究所研究員のDr.キュルクチェィヴァと田尾誠敏(大正大学非常勤講師)の通訳・協力により実施された。実地調査に先立ち、ソフィアで同民族学研究所において同所長・副所長らを交え打ち合わせを行い、ブルガリアの民俗学一般、職人、近代化など多岐にわたり有益な情報を得ることができた。調査したバルカン山脈の北と南に東西に走る両ルート上の旧宿場町は今日でも重要な交通の要所であり、そうした町の中には社会主義政権下で根こそぎ区画整理された町もあるが、総じて当時の街区が残されている。さらには、観光資源のために修復・復元しているところが目立つ。街区が変貌してしまった町でもその地域の中心的な博物館には、町の歴史・文化を知ることができる充実した資料が保管されている。多くの民俗学博物館では民俗資料以外に、それらを製作した職人に関する情報が多く公開されているのが注目された。オスマン朝末期の職人制度、職種、街区などに関する貴重な資料が提示されている。博物館の研究員からの研究成果・資料提供により、重要な情報を得ることができた。このことにより、19世紀後半以降のブルガリアとアナトリアとの繋がりが理解できた。
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