研究課題/領域番号 |
13571030
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研究機関 | (財)中近東文化センター |
研究代表者 |
高橋 忠久 財団法人中近東文化センター, 学術局, 研究員 (20260143)
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研究分担者 |
沖本 弘 アジア民族技術研究所, 研究員
中川 衛 金沢美術工芸大学, 美術工芸研究所, 教授 (80180256)
真道 洋子 財団法人中近東文化センター, 学術局, 研究員 (50260146)
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キーワード | 職人 / 大工道具 / 街区 / トルコ / バルカン地域 / オスマン朝 / 伝統工芸 / 金属工芸 |
研究概要 |
2003年度は、国内活動として前年度の調査内容検討・報告発表及び今年度の調査会議の打ち合わせなどを行い、海外調査ではトルコ共和国で現地調査を行う。調査は事前にトルコ共和国政府より調査許可を受けイスタンブル県を皮きりに、ブルサ、ビレジック、バルケスィル、エスキシェヒル、カラビュックの各県において実地調査をおこなった。同年は調査期間中にイスタンブルにおいて2度爆破テロがあった為、調査期間を短縮した。調査のあらまし以下のとおりである。 それぞれの調査地では、各々の県の商職人組合連合の支部を訪問し、職人を中心とした経済一般につての情報も収集した。近年の経済発展は産業構造に急激な変化をもたらし、生産規模も拡大される傾向にある。これに反していわゆる手仕事を中心として簡単な機械を使う職人というものは減少傾向にあり、経済の狭間にあり、かなり苦境に立たされている、こうした状況は商職人組合連合の縮小・弱体に繋がるが、小規模な商職人の意識を高めるような啓蒙的な出版物を発行したり、オスマン朝期の伝統的な職人行事を復活させるなど結束を強め、衰退傾向に歯止めをかけようとする努力も成されている。そうした活動は浸透しつつあるように見受けられる一方、職業訓練校や伝統工芸学校の活動が予想以上に活発な地域もあり、そうした機関で、伝統的な技術が教授され市場性を意識した製品の生産に関心が集まっているのが注目された。 また、1、2の調査地域にはオスマン朝末期、あるいは共和国初期にバルカン諸地域からの移住職人の末裔もおり、製品の形状にはそれぞれの地域の名残が伝えられていたという。現在は、おしなべて、後継者もおらず修理専門職人となっている。職人が減少したため仕事はそこそこにあるということであった。
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