研究課題/領域番号 |
13571030
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研究機関 | (財)中近東文化センター |
研究代表者 |
高橋 忠久 中近東文化センター, 学術局, 研究員 (20260143)
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研究分担者 |
真道 洋子 中近東文化センター, 学術局, 研究員 (50260146)
中川 衛 金沢美術工芸大学, 美術工芸研究所, 教授 (80180256)
沖本 弘 アジア民族技術研究所, 研究員
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キーワード | トルコ / バルカン / 職人 / 大工道具 / 伝統工芸 / 街区 / 金属工芸 / オスマン朝 |
研究概要 |
2004年はルーマニアでの現地調査、2回の研究会と打ち合わせ会議を中心に研究活動を行った。道具等の観察・記録を行った。実地調査は8月19日から9月5日までの18日にかけて、ルーマニアの北部地方(マラムレシュ地方)を除く、ドナウ河の北部地域を中心に、首都ブカレスト、ドロベタ・トゥルヌ・セヴェリン、ホレズ、トランシルヴァニア地方:シビウ、シギショアラ、ブラショフ、そして、ドブルジャ地方:トゥルチャ、コンスタンツァを踏査した。実地調査は黛 秋津氏(東京大学大学院博士課程/日本学術振興会特別研究員)の資料・情報提供、通訳などの協力より実現された。 調査は訪問先の都市を拠点に職人街区や博物館に展示されている職人関連の資料、作品、道具などの観察を行った。 訪問した都市の旧街区はかなり残されており、観光資源として徐々に整備されつつある。職人名を冠した街区名を有する都市もあり、職人工房跡も観察できたことでこれまでに調査した地域との差異も確認できた。また、都市における職人集団の労働賦役を示す資料も発見することができた。 博物館には金属細工、木工加工、陶器製造、テキスタイル製品製作などで使用された多種様々な道具類が豊富に保存されおり、アナトリアや他地域との比較において大いに参考になった。収集できた道具名には他地域との共通点はあまり見られない。 金属製品の形状はヨーロッパ産との共通性が強く見られる。バルカン地域との関連性は少ないように見受けられる。オスマン朝期の銅細工製品に特徴的な大釜(カザン)があるが、博物館資料の中にはそれらは認められず、小型の銅製品しか展示されていない。社会主義時代に銅の緑青が健康を害するという理由で廃止されたという話も残されている。 現存する職種としてはホレズ、コルンドで陶工を実見することができた。
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