研究課題
基盤研究(B)
トルコとバルカン諸国はオスマン帝国(1299-1922年)の500年に及ぶ統治下にあり様々な交流があった。職人達も、宗教、言語、文化背景の相違を超えて技術交流を積み重ね複雑な相互依存関係を持ちながら、帝国の経済の一翼を担ってきた。しかし、19〜20世紀にかけて次々と国民国家が成立し帝国が壊していく中、そのような交流は疎外され、伝統技術の継承に支障をきたしたり経済活動の低下を招いたりした。こうして、帝国内で職人達が伝えてきた諸技術は、各々の国民国家単位で再編成され各国民・民族固有の伝統技術として評価される一方で近代化の波に次々と飲まれていった。このような激変をくぐり抜け、職人達は新しい状況に適応しつつ伝統技術や生活様式を維持してきたが、第二次世界大戦を境にその多くが急速に衰退、また、オスマン帝国時代の職人技術や生活を知る者も残り少なくなってしまった。しかし、その一方で新しい状況に柔軟に対処しながら伝統技術を今に生かす動きも各地で見出せる。この調査では、オスマン帝国末期から今日にいたるまでのバルカン諸国およびトルコにおけるこのような伝統技術の推移を、「時間と共に変容する各々の地域の現在の姿をありのままに記録する」ことに留意し、基本的な資料の作成・蓄積をすることにつとめた。同時に一連の調査で収集した多くの映像資料はデジタル化に向け資料整理を行ってきた。そのさい、各地域で実際に生き抜いてきた職人の個々の姿に焦点を当てることで推移を具体的に記述することに努めた。地域との比較において、どの国も伝統技術を積極的に観光化に取り込んでいるのが見える。その先進的な地域がギリシャ、トルコであるが、社会主義政権が崩壊したブルガリアとルーマニアでもその動きが活発化している。確かに伝統技術の観光への応用は可能であり推進されているが、効率優先の結果、伝統的な手法に因らず簡略化された生産方法が少なからず存在しており、伝統技術継承という点では問題もはらんでいる。
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すべて 雑誌論文 (24件)
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Senri Ethnological Studies no.55 Cultural Change in the Arab World
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