戦間期シベリア、モンゴルの政治、社会システムの改編:1917-1941年

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13571031
• 研究機関: 東北大学
• 研究代表者: 寺山 恭輔 東北大学, 東北アジア研究センター, 助教授 (00284563)
• 研究分担者: 高倉 浩樹 東北大学, 東北アジア研究センター, 助教授 (00305400) ; 岡 洋樹 東北大学, 東北アジア研究センター, 助教授 (00223991) ; 栗林 均 東北大学, 東北アジア研究センター, 教授 (30153381)
• キーワード: スターリン政治 / ソ連民俗学史 / ヤクーチア / オトグ・バグ / 東北アジア地域論 / シベリア抑留 / 華夷訳語 / 元朝秘史

研究概要

寺山は、2002年春シベリアのノヴォシビルスクで行なったシンポジウム(本テーマと深く関係する『スターリン政治におけるウラル、シベリア』)の論集を、現地の研究者と共同で出版した(ロシア語)。センターの客員教授と協力し日本人兵士抑留問題に関して『シベリア抑留死亡者名簿』を編集し、東北アジア研究センターの叢書として刊行する予定である(2003年3月)。2003年2月に行なったモスクワへの調査旅行で、本テーマに関した諸資料を図書館、公文書館で入手することができた。また1920年代に日本に領事として赴任した日本人漂流民の末裔の事跡に関する資料もロシア人研究者と協力して収集し、現在論文を準備中である。
栗林はソウルで開かれた2回の国際会議(2002年10月、2003年1月)、大谷大学で開かれたモンゴルの出版文化に関するシンポジウムに出席し、それぞれにおいて『元朝秘史』をめぐるモンゴル語と漢語の関係を中心に異なる角度から発表を行い、現在『「華夷訳語」モンゴル語全単語・語尾索引』の出版を準備中である。
岡は、モンゴルにおける地方社会の伝統的構成単位であるオトグ・バグについて論文を執筆、高倉とともに論集『東北アジア地域論の可能性 歴史学・言語学・人類学・政治経済学からの視座』の編集で中心的役割を果たすとともに、センターにおけるモンゴル関係の共同研究成果を集めた論集『モンゴル研究論集』を編集した。
高倉は、シベリア・サハ人に関する1930年代の民族学的研究史の分析を行った。この時期、19世紀末に行われたロシア人民族学者の現地調査の成果がアメリカで出版されており、さらに1930年代後半に、モスクワからの調査隊がヤクーチア中央部で調査を行い、その成果が出版されている。上記二つの資料に見られる研究テーマの違いについて検討し、それらが1930年代のソ連民族学史における研究動向の変動と対応していることが明らかになった。2002年後半にモスクワで史料調査を実施した。表記論文を発表した他、2003年3月には岡とともに『東北アジアにおける民族と政治』をテーマにしたシンポジウムを主催した。

研究成果

• [文献書誌] Terayama Kyosuke: "Sovetskaia mobilizatsionnaia politika na Dal' nem Vostoke v nachale 1930gg"S.Popkov, K.Terayama eds., Ural i Sibir' v Stalinskoi Politike, Novosibirskロシア語. 98-125 (2002)
• [文献書誌] 栗林均: "『元朝秘史』におけるモンゴル語と漢語の人称代名詞の対応"東北大学東北アジア研究センター『東北アジア研究』. 第7号. (2003)
• [文献書誌] 岡 洋樹: "モンゴルにおける地方社会の伝統的構成単位オトグ・バグについて-モンゴル国ヘンティ・アイマグ、ガルシャル・ソム調査報告-"岡 洋樹編『モンゴル研究論集 東北大学東北アジア研究センター・モンゴル研究成果報告I』東北アジア研究センター叢書. 6号. (2002)
• [文献書誌] 岡 洋樹: "東北アジアにおける遊牧民の地域論的位相"岡 洋樹・高倉浩樹編『東北アジア地域論の可能性 歴史学・言語学・人類学・政治経済学からの視座』東北アジア研究シリーズ. 4号. 19-33 (2002)
• [文献書誌] 高倉浩樹: "民族文化と公共の記憶の布置-サハにおける馬乳酒祭と駒繋ぎ"瀬川昌久編『文化のディスプレイ-東北アジア諸社会における博物館、観光、そして民族文化の再編』. 69-118 (2003)
• [文献書誌] 高倉浩樹: "自立と民族宗教の希求-サハ共和国における民族主義と文化復興"林忠行, 宇山智彦, 帯谷知可編『スラブ・ユーラシア世界における国家とエスニシティ』. 3-13 (2002)
• [文献書誌] A.A.キリチェンコ, 寺山 恭輔編集: "シベリア抑留死亡者名簿"東北大学東北アジア研究センター叢書12号. 700 (2003)