研究概要 |
本研究は、科学研究費奨励研究(A)(平成11〜12年度、古代マヤ社会における職業の専門化に関する基礎的研究)の研究成果を受けて、中米のグアテマラ共和国のアグアテカ遺跡の焼失住居跡の全面発掘調査により出土したさまざまな遺物の多種多様な基礎的かつ実証的な考古学データを互いに検証しながら学際的な研究を行うことによって、古典期マヤ人の日常生活の一部を復元する3年計画のプロジェクトである。平面発掘が完了した全部で8基の焼失住居跡から出土した遺物は、住居跡1基あたり土器50個体から80個体、石器1,000点以上の他に、貝製品、骨製品など多数にのぼる。特に青山が担当している石器の分析では、今年度までに10,000点以上の石器の属性分析を完了させた。建造物内や建造物間の石器の製作・流通・消費を研究するために、マヤ考古学初の試みとして、床面直上をはじめとする一次堆積石器の体系的な接合を行った。また、石器の機能を推定するために高倍率の金属顕微鏡を用いた石器の使用痕分析も行った。こうした石器の分析データをコンピューターに入力してデータベース化した。さらに英文の最終調査報告書の刊行にむけて、各建造物から出土した代表的な石器の写真撮影および実測図の作成を開始した。一方、研究成果の一部をアメリカ合衆国ルイジアナ州ニューオーリンズ市で開催された第66回アメリカ考古学協会年次大会およびメキシコのカンペチェ州のカンペチェ自治大学で開催された第11回マヤ学者国際学会において、それぞれ英語とスペイン語で研究発表した。
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