研究概要 |
本研究の目的は、中米のグアテマラ共和国のアグアテカ遺跡の焼失住居から出土した遺物の分析を通して、古典期マヤ人の日常生活の様子を研究することである。全面発掘した8基の焼失住居跡から出土した様々な遺物の分析が、グアテマラ、日本、アメリカ、カナダ、スイス、ドイツ、ポーランドの国際的な調査団員によって学際的に進められた。土器分析は、調査団長の猪俣健、Daniela Triadan(以上、アリゾナ大学)、グアテマラの大学生たちによって行われた。Triadanは、土偶の属性分析を完了し、古典期マヤ人の衣服・活動の一部を復元した。Kitty Emery(フロリダ自然史博物館)は、骨・貝製品の基礎的な分類を行い、住居跡毎にデータを定量化した。Harriet Beaubien(スミソニアン研究所)らは、様々な遺物を修復した。共同調査団長の青山が担当する石器の分析では、全石器(10,839点)の属性分析を完了させ、高倍率の金属顕微鏡を用いて2,966の石器の使用痕を分析した。さらに平成13年度に引き続き、建造物内や建造物間の石器の製作・流通・消費を研究するために、マヤ考古学初の試みとして、床面直上をはじめとする一次堆積石器の体系的な接合を行った。こうした石器の分析データをコンピューターに入力してデータベース化し、各遺物の写真撮影および実測図の作成を行った。さらに本研究に関連するスペイン語文献をメキシコのユカタン州で収集した。一方、研究成果の一部をグアテマラ市で開催された国際会議・第16回グアテマラ考古学調査シンポジウムにてスペイン語で、及び古代アメリカ研究会第7回研究発表会にてそれぞれ研究発表した。またグアテマラ市のグアテマラ国立サン・カルロス大学歴史学部考古学講座に招かれ、研究成果に関する招待講演をスペイン語で行った。
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