研究課題
シーボルトが日本から持ち帰った標本というと植物標本や動物標本が著名であり、それらに関しては多くの研究がなされている。また、シーボルトの持ち帰ったその他の多くの標本の中に鉱物・岩石・鉱石標本や化石標本もあるが、その全容は明らかにされていない。シーボルトの著した「日本」の中の「1826年江戸参府紀行」に、いくつかの鉱物標本の収集に関する僅かな記述がある。また、昭和9年にベルリンの日本学会が、所蔵するシーボルト関連の文献約300点を日独文化協会に1年間貸し出した中に、シーボルト「日本鉱物誌」がある。この文献は日本の鉱物に関するまとまった記述であり、江戸末期の日本の鉱物学の実状を知ることができる重要な資料として残されている。本研究の目的は、この「シーボルト鉱物誌」の記載をもとにしてオランダのライデン自然史博物館に収蔵されている未整理のシーボルトが収集した鉱物標本を調査し、画像を含むデータベースを作成し、江戸末期における日本鉱物誌を確立しようとするものである。本年度は、昨年度に引き続き、ライデンの自然史博物館において、収蔵されている約800点の鉱物標本の調査と、その内の約400点の写真撮影と標本の記載を行って、画像のデジタル化と、画像を含むデータベースの作成への準備を行った。また、昭和9年にベルリンの日本学会が、所蔵するシーボルト関連の文献約300点を日独文化協会に1年間貸し出した中にあった東洋文庫に保存されているシーボルト鉱物誌を調査し、その中のオランダ語で書かれている主要な部分の英訳を開始した。
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