(目的)本研究の目的は、インドネシア共和国西ジャワ州タンジュンサリ県において1988年-89年に出生した小児コホートを利用して、インドネシア小児の発育値および成熟度調査を行い、インドネシア標準成長曲線の開発を行うことにある。 (方法)本年度は、研究代表者は、研究協力者の渡辺洋子、Anna Alisjahbana(パジャジャラン大学医学部・教授)とともに現地保健所医師およびヘルスワーカーを指導し、主に現地事情に詳しい保健所医師およびヘルスワーカーの手により体重測定および身長測定、コレステロール測定、思春期前期の性発達などのアンケート調査を行った。また、今年度に得られたデータを、出生時および乳幼児期の疾病歴や昨年度の発育歴と比較検討する。 (結果)タンジュンサリ県における小児コホートは、1988年-89年に出生した4700名の新生児を毎年継続してフォローしている東南アジアでも最大級の小児コホート集団であり、乳幼児期の死亡や転居などにかかわらず、現時点でも約3000名以上がタンジュンサリ県に居住し、発育調査に協力できる態勢が整っている。2001年度に身体計測とインタビュー調査を行った対象小児(11歳)は、3217名であり、そのうち出生時の体重が2500g未満の低出生体重児は210名であった。平均体重26.4kg(SD=4.34)、平均身長130.6cm(SD=6.22)、頭囲51.3cm(SD=1.48)、上腕周囲計(MUAC)18.26cm(SD=1.57)であった。また、インタビュー調査を行った1151名の女子のうち、11歳時点で初経をみたものは、わずか35名(3.0%)であり、日本の小児と比べると思春期の成熟の遅延が見られた。 2001年度と2002年度の個人データの比較検討に関しては、現在、最終データを整理しているところであるが、成長のスパート時期が遅い傾向が認められた。
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