本研究はメコン川下流部平野の地形の特色と洪水の挙動、ならびに平野の形成史を解明することを目的とする。第2年度の平成14年度は、カンボジアの対象地域における地形図・空中写真の判読ならびに現地調査にもとづき、プノンペン周辺地域の微地形分類図作成をおこなった。また、2000年洪水と地形の関係についての考察をすすめた。 カンボジア国内メコン委員会(CNMC)において入手した空中写真の判読と現地調査によりプノンペン周辺の微地形分類図を作成し、フランスのSPOT衛星による2000年9月の洪水時の画像との比較を行い、地形と洪水の関係を考察した。また、プノンペン周辺の表層地質資料を入手し、平野の地形と形成史の解明を試みている。現地調査は2002年8月末-9月上旬と、2002年9月中旬の2回実施し、1回目は下流部のベトナムのデルタ地域から、支流トンレサップ川流域を含むメコン川下流域の地形・土地利用等の踏査を行った。2回目はカンボジア現地機関における資料の入手とともに、プノンペン周辺のメコン川・トンレサップ川流域で地形・洪水調査をおこなった。 入手資料と現地調査結果の解析をもとに、2002年3月の日本地理学会春季大会で中間報告を行なった。また、地形と洪水の関係を2003年3月のアジア太平洋水文水資源国際会議において、および、平野の表層地質に関して2003年3月の日本地理学会春季大会で報告の予定である。さらに、平成14年度より文科省「人・地球・自然共生プロジェクト」において、本研究と関連したメコン流域の水資源モデル構築プロジェクトとも連携しながら研究を進めている。
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