研究課題/領域番号 |
13571045
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
笠井 直美 新潟大学, 教育人間科学部, 助教授 (20255243)
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研究分担者 |
綾部 真雄 成蹊大学, 文学部, 助教授 (40307111)
大澤 清二 大妻女子大学, 人間生活科学研究所, 教授 (50114046)
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キーワード | 薬物乱用 / タイ国 / 非行少年 / 性交経験 / 家庭環境 / エイズ |
研究概要 |
本研究ではチェンマイ県教育庁の協力を受けて、タイ国児童生徒の薬物乱用の理解・態度に関するフィールド調査及びインタビュー調査を継続して実施した。また、タイ国で実施された薬物乱用に関する調査結果から、本研究に関わる知見が得られた。その一つとして、1997年にタイ国教育省が実施した、小学5、6年生、5,413人が対象となった調査結果「The Study of Drug Abuse Situations and Patterns of Primary School Students」(タイ語)がある。乱用経物質のある薬物は、アルコール(33.0%)、揮発性物質(9.2%)、タバコ(8.7%)、メタンフェタミン(0.4%)であった。小学生が薬物乱用を行う要因に関して、以下の3点が明らかになった。1.家庭の要因としては、家族の結束の問題、2.個人の要因としては、問題解決能力、問題行動への勧誘、3.環境の要因としては、親しい人物の存在が認められた。また、1989年にチュラーロンコーン大学のVipaらが、非行少年、男子564人、女子123人を対象(薬物犯罪者23%)に実施した調査報告書、「Knowledge and Attitudes towards Drug Abuse and Related Antisocial behavior of Juvenile Delinquents」(タイ語)によれば、14-16歳に薬物の乱用を始める者が多く、1回目の薬物乱用の一般的な理由は好奇心であった。また、薬物乱用者の性交経験率は非薬物乱用者の約2倍であり、特に7-14歳の男子薬物乱用者は、非薬物乱用者の8倍の性交経験率を示した。低年齢における薬物乱用および性交経験に関連する要因として、社会的環境が行動の開始を助長していることが明らかであった。本研究では、薬物乱用防止・撲滅対策として尿検査を実施しているチェンマイ市内の学校でのインタビュー調査の結果から、薬物乱用の要因となる身近な薬物の売人や薬物を乱用する人の存在が明らかとなった。また、家族を含めて、人間関係の希薄さが要因の一つであることが窺えた。
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