研究課題/領域番号 |
13572002
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
荒井 茂夫 三重大学, 人文学部, 教授 (00159477)
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研究分担者 |
田村 慶子 九州市立大学, 法学部, 教授 (90197575)
福田 和展 三重大学, 人文学部, 助教授 (10324500)
安食 和宏 三重大学, 人文学部, 助教授 (00231910)
田中 恭子 南山大学, 総合政策学部, 教授 (00167496)
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キーワード | 華僑・華人研究 / 華僑・華人社会 / 華僑・華人史 / 東南アジア華人社会史 / マレーシア華人社会 / シンガポール華人社会 / インドネシア華人社会 / ボルネオ華人 |
研究概要 |
本年度はこれまでの調査結果を各自まとめ、研究発表及び論文作成に着手した。荒井は8月11、12日ブルネイで開催された日本アセアン交流記念ブルネイ・ボルネオ研究セミナーでサラワクでの調査の一部を発表し、同時に補助調査を行った。また11月29,30日、クアラルンプールで開催された「多元社会における中華文化の伝承と発展シンポジウム」で研究発表した際にも時間をとり補助的調査を行った。安食は12月にフィリピンで補助調査を行った。 報告書冊子は3月1日に完成した。ただ全体の分析は膨大なものになるので、今後年内にかけて、さらに発表を行って、最終的には上梓して社会的還元を行う。 今回の調査は従来の現地における人的関係の蓄積の上に成功裏に行うことができた。この人的関係を絶やすことなく、今後の研究資源としてばかりか、現地の人々との人間的信頼に基づく交流として、後続の研究者に引き渡せるよう努力することは我々の責務である。 報告書は日英中の三カ国語で構成した。言葉の壁を越えてダイレクトに各地の研究者がアクセス可能な情報発信を行うことができた。同時に科学研究費補助金制度が日本ばかりか海外の学術研究の発展に貢献していることを強調しなければならない。 東南アジア地方都市華人の移動と生活について、従来の研究に欠けていた大衆レベルでの実証的研究をするのが目的で、過去3年間にマレーシア、シンガポール、インドネシアの13の地方都市について、次のような内容の調査を行った。1)移動の経緯や家族親戚の分布、2)中国との関係(親戚との連絡や送金)、3)教育背景、4)子弟に対する言語教育の重点の所在、5)言語生活状況、6)経済生活に対する実感、7)複合アイデンティティの実態、8)政治的環境に対する実感など、33の質問項目からなる調査票による調査とインタビュー。また同時に文献資料による移動の歴史的社会的考察を行っている。質問票は予想に反して600部近く回収することができた。これは偏に従来の人的関係の良好な蓄積と中国の経済政治的存在の増大が間接的にこの地域の華人の地位を高めていることによるものと思われる。
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