研究課題/領域番号 |
13572002
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
社会学(含社会福祉関係)
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
荒井 茂夫 三重大学, 人文学部, 教授 (00159477)
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研究分担者 |
田村 慶子 北九州市立大学, 法学部, 教授 (90197575)
福田 和展 三重大学, 人文学部, 助教授 (10324500)
安食 和宏 三重大学, 人文学部, 助教授 (00231910)
田中 恭子 南山大学, 総合政策学部, 教授 (00167496)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2003
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キーワード | 華僑・華人研究 / 華僑・華人社会 / 華僑・華人史 / 東南アジア華人社会史 / マレーシア華人社会 / シンガポール華人社会 / インドネシア華人社会 / ボルネオ華人 |
研究概要 |
東南アジア地方都市華人の移動と生活について、従来の研究に欠けていた大衆レベルでの実証的研究をするのが目的で、過去3年間にマレーシア、シンガポール、インドネシアの13の地方都市について、次のような内容の調査を行った。1)移動の経緯や家族親戚の分布、2)中国との関係(親戚との連絡や送金)、3)教育背景、4)子弟に対する言語教育の重点の所在、5)言語生活状況、6)経済生活に対する実感、7)複合アイデンティティの実態、8)政治的環境に対する実感など、33の質問項目からなる調査票による調査とインタビュー。また同時に文献資料による移動の歴史的社会的考察を行っている。質問票は予想に反して600部近く回収することができた。これは偏に従来の人的関係の良好な蓄積と中国の経済政治的存在の増大が間接的にこの地域の華人の地位を高めていることによるものと思われる。1)については、さほど顕著な移動はないが、進学のために外国へ出ようとする傾向が特徴的であった。2)については、現在では中国の親戚と連絡を取っている者は少なく、むしろ不明となっている者が多数であった。3)、4)、5)は、華語教育の必要性と、華語の経済的価値に対する認識が顕著であった。6)は、社会的上昇のために居住国に対する帰属感を深める傾向が明確であった。7)、8)については、冊子報告書で詳細な分析をおこなった。それによると、華人は政治的には今日中国に帰属感を持ち、同時にほぼ等量の中華文化に対するアイデンティティを保持し、個人の経済活動や華人社会の経済的利害、或いは政治的文化的利害が絡まって、微妙に華人の価値判断に影響を与えていることが明確となった。報告冊子は日英中の三ヵ国語で作成し、言語の壁を越えた情報発信によって、外国研究者のアクセスを容易にした。ただ、全体の分析は膨大なものになるので、今後年内にかけてさらに発表を行い、最終的には上梓する。期間中の調査は従来の現地における人的関係の蓄積の上に成功裏に行うことができた。現地の人々との人間的信頼に基づく交流を絶やすことなく後続の研究者に引き渡すよう努力する責務がある。
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