倉沢が2002年7月23日-9月21日内藤が同7月23日-8月21日と2002年12月21日-2003年1月1日の二回、ジャカルタで現地調査を行った。 倉沢は、南部ジャカルタ市レンテンアグン町内に居住し、行商や露天商を営んでいる住民十数名から詳細な聞き取りを行った。彼等が、農村から出てきてこの町に住居を定め、かつその商売を始めるに至った経緯、仕入れの方法、仕入れ額、(自家製商品の場合)その製造方法、販売場所、売上額などについてたずね、そこにおける住民間のネットワークのあり方や、情報の動きを調べた。同郷の親族や知人を頼って農村から出て来て、当初はその知人と同じ業種の仕事をする場合が多いことや、ひとつの業種を長く続けている者は比較的少なく、売れ行き筋の良い、商品の行商へとどんどん変えて行く傾向があること、家族を農村に残しての出稼ぎである場合が多く、定住性が低いことなどが分かった。 内藤は、レンテンアグン町内にある、伝統的市場(「パサル」と称される)に焦点をあて、その歴史、規模、運営方法、出店している業種とその数などの概要を調べた後、商人約90名にアンケート調査を行い、出身地などの個人データのほか仕入れルート等についても調査した。また、数日間市場で観察を続け、毎日どのような客が何人くらい来て何を買っていくか、近代的スーパーマーケットではなく市場へ来るインセンティブは何か、などをアンケート形式で約270名を対象に調べた入場者数に関しては、複数の助手を使い5日間にわたって計数調査を行った。
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