現地調査は倉沢が2003年12月〜2004年1月に、内藤が2003年8月〜9月および2004年3月に、それぞれ実施した。主たるフィールドはこれまでと同様、南部ジャカルタ市レンテンアグン町である。 倉沢は住民組織の変遷と過去における機能を探求すべく、ジャカルタにて文献収集を行った。関連のトピックとして1965年の9・30事件当時の住民組織のありようと、同時代を生きた人々の個人史の聞き取り調査を行った。その一方で、大衆紙「ポス・コタ」に掲載された過去の関連記事を整理する作業を進めた。大衆紙に焦点をあてたのは、都市の日常がもっともリアルに再現されているメディアと考えられるためである。 また、昨年から継続した作業として、レンテンアグン町内の行商人や露天商の動向を追い、さらには個人史をインタビューしてまわった。他方、町内の流出入者の動向を分析する作業も行った。今年度の調査では個人史の記述に終始してしまったが、これは予想外に本テーマに関する文献資料が少なかったことによる。 共同研究者内藤は、都市生成にかかわる調査を進めた。具体的には、レンテンアグン地域の核となっている市場について、昨年度できなかった常設店商人に対する面接調査を行った。総計146人にインタビューし、出身地やエスニシティ、1日の売り上げなど彼らの属性や営業形態を明らかにした。これらのデータをまとめ、地域と商人たちの関係を明らかにすることを試みた。 これらと併行して、比較のためにジョクジャカルタ州ウオノレロ村でも住民の調査を行った。
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