共生のための障害者福祉地域支援システムに関する国際比較研究

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13572009
• 研究機関: 岡山県立大学
• 研究代表者: 渡辺 勧持 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (00090423)
• 研究分担者: 三田 優子 愛知県心身障害者コロニー・発達障害研, 究所・社会福祉学部, 研究員 (20261208) ; 島田 博祐 愛知県心身障害者コロニー・発達障害研, 究所・社会福祉学部, 研究員 (40280812) ; 近藤 理恵 岡山県立大学, 保健福祉学部, 講師 (60310885)
• キーワード: 障害者 / 共生 / ノーマライゼーション / 国際比較 / 知的障害の定義 / 地域ケア / 地域生活支援 / 統合

研究概要

本年度は、2002年にアメリカ合衆国知的障害学会の知的障害定義の改正が障害者の共生社会の成立に及ぼす影響を日本の支援費制度との関係で明らかにすることを目的とした。アメリカ合衆国知的障害学会の定義は、ほぼ20数力国で翻訳されており世界的な影響を与えている。第一回の調査は、この定義の変更委員会の主要メンバーへの聞き取りを実施した。第二回目の調査は、学会が行った定義のワークショップに出席し、さらに委員との検討を行った。
1.アメリカ合衆国での調査研究(8月8日〜8月21日)(1)カリフォルニア大学リバーサイド校教授Dr.Duffy教授と適応行動の新たな3次元の定義について、また第9版まで使用されていた10領域および2領域以上の制限に関する定義が廃止された経過とその学術的意義について討議を行った。(2)カリフォルニア大学ロスアンゼルス校教授Dr.Nihira教授と日本版の適応行動尺度の改訂等に関する協議を行った。(3)アメリカ知的障害者学会(AAMR)の現在の会長であり、2002年の知的障害定義の変更に関する委員会の委員長でもあるニュー・メキシコ大学教授Dr.Luckasson教授と新しい改訂に伴うアメリカ合衆国の制度や行政の対応について討議を行った。(4)アメリカ知的障害者学会(AAMR)の元会長であり、2002年の知的障害定義の変更に関する委員会の委員でもあるネブラスカ大学教授br.Schalock教授と従来の医学的モデルから社会的モデルへの変更に伴う、支援制度について討議を行った。(1)イリノイ大学シカゴ校研究主任Dr.Yamaki新しい定義の変更に伴うアメリカの影響や今後日本に及ぼすであろう影響について協議した。2.アメリカ合衆国での調査研究(9月19日〜9月26日)アメリカ合衆国知的障害者学会主催の定義変更に伴う講習会に出席するとともに、Dr.Schalock, Dr.Lukason、Dr.Duffy、Dr.Tasseと討議を重ねた。
これらの成果は東京で開催された日本知的障害者福祉連盟主催による知的障害福祉月間の基調講演等で報告した。また、これらの定義の変化に伴うアメリカ知的障害学会の支援システムと日本の支援費制度の比較検討を行うために、岡山県総社市、倉敷市、山手村等での障害者の親および市町村の支援費担当職員に聞き取りを行い、支援費制度が共生社会の成立に及ぼす影響を考察した。

研究成果

• [文献書誌] 島田博祐, 渡辺勧持, 高橋 亮, 谷口幸一: "中高齢知的障害者の処遇及び生活実態に関する研究-入所施設とグループホームの比較から-"発達障害研究. 24,1. 67-78 (2002)
• [文献書誌] W.Horner-Johnson, C.Keys, D.Henry, K.Yamaki, F.Oi, K.Watanabe, H.Shimada, I.Fujimura: "Attitudes of Japanese students toward people with intellectual disability"Journal of Intellectual Disability Research. 46,5. 365-378 (2002)
• [文献書誌] Toshiaki Tachibana, Kanji Watanabe: "Japanese Studies on Attitudes Towards Persons With Mental Retardation"Mental Retardation.. 40,3. 245-251 (2002)
• [文献書誌] 菠辺勧持: "第II部第4章「知的障害養護学校」、第III部第4章「知的障害児者施設」. 斎藤友介, 坂野純子, 松浦孝明, 中嶋和夫編「チャレンジ 介護等体験」"ナカニシヤ出版. 44-49, 95-101 (2002)