研究課題/領域番号 |
13572014
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
太田 勝洪 法政大学, 法学部, 教授 (10061136)
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研究分担者 |
田中 信行 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (70217058)
趙 宏偉 法政大学, 工学部, 助教授 (40265773)
菊池 道樹 法政大学, 経済学部, 教授 (90143718)
唐 亮 横浜市立大学, 国際文化学部, 助教授 (10257743)
国谷 知史 新潟大学, 法学部, 教授 (90234468)
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キーワード | 中国政治 / 中国の市場経済化 / 社区 / 社団 / コミュニティ / 中国の民主化 / 村民委員会 / 費改税 |
研究概要 |
研究代表と研究分担者は、延べ15人が中国各地および台湾に学術調査に赴き、日本では6回の定例研究会、特別研究会を開催した。「中国の市場経済化と国家の変容」に関する調査・研究は、中国の都市部と農村の末端レベルの権力構造に絞って行なわれた。 都市部では、「社区」(コミュニティー)の形成と発展を重点的に調査・研究した。中国では、市場経済化、とりわけ持ち家政策が進められた結果、市民は職場兼生活の場でもあった「単位」との紐帯を失いつつある。いわば、計画経済体制下の「単位人」が次第に市場経済体制下の「社会人」に転化しつつある。 しかし、ここ数年で新たに出現した居住区毎の社区の形成、位置づけは複雑であり、流動的である。末端権力(街道弁事処)の補完・補強を重視し「上からの」社区を目指すところもある一方、財政的な余裕のない都市では住民の自治指向型を採用する傾向にある。民政部も当面これを支持する方向であるが、皮肉なことに、自治指向型コミュニティが普及すれば、農村と同様の草の根民主が都市においても発展する可能性を持つ。 また都市部を中心に、「非国有資産を用い、非営利目的の社会サービス活動に従事する社会組織」としての「社団」の急増が顕著な現象となった。この現象は市場経済化の進展に伴う国家と社会の分離、社会の多様化の反映と見られる。 農村部では、郷鎮村の合併(撤郷併鎮)が行政改革、具体的には人員削減の一環として全国各地で進められた。その背後には、直接選挙を導入した村民委員会の性格変化もあろう(村民委員会組織法改正は98年)。また、市場経済化とWTO加盟に対応するため、「費改税」と呼ばれる「費用の徴収を税の徴収に改める」改革が実験的に行なわれている。それは「徴税」にまつわる農村の伝統的権力構造を根底から揺るがすことになろう。
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