平成15年度は、2名が2回ずつ合計4回の現地調査を行った。そのほか、最終年度であることから、いくつかの学会・シンポジウム等で発表を行った。 吉野悦雄は、10月15日より10日間、ベラルーシの南部国境地帯、すなわちウクライナと国境を接するピンスク市郊外の農村部および都市部で6戸の長時間直接インタビューを行った。 また12月17日から13日間、ウクライナ西部地帯で、ユダヤ人、ジプシーなど少数民族の家庭でインタビュー調査を行い、経済変動や社会変動が個人と華族にどのような影響を及びしたかを調査した。またこの2回の調査で、ポーランドのワルシャワを経由し、同地で資料を収集した。 松里公孝は6月2日より15日までウクライナ中央部の数県の地域で政治状況と農村構造の変化を調査した。その成果は既に公刊されている。モスクワを経由し、同地で資料を収集した。 また7月22日より38日間にわたって、ベラルーシの数県の地域で政治状況と社会情勢を調査し、とりわけ、ルカシェンコ大統領の大衆迎合路線(ポピュリスト政策)を詳細に研究し、その成果は既に公刊されている。 平成16年1月28日から30日まで北海道大学で開催された国際シンポジウムで松里は当該地域におけるポピュリスト政策とドイツの影響について報告し、吉野は同分科会のパネルに参加した。また吉野悦雄は、2月22日に一橋大学で開催された国際シンポジウムで、当該地域の体制転換過程が出生率と死亡率に及ぼした影響について報告した。 最終年度なので、3年間の研究実績をまとめておきたい。松里は、精力的に研究成果を発表し、他の科学研究費との合同研究も含めると14編の論文を公刊した。一方、吉野は公刊論文は2編であるが、7会の国際シンポジウムで発表し、また50軒以上の詳細な家系図を作成し、それは成果報告書(冊子)で公刊される。
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