研究課題/領域番号 |
13572018
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
布川 日佐史 静岡大学, 人文学部, 教授 (70208924)
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研究分担者 |
瀧澤 仁唱 桃山学院大学, 法学部, 教授 (60226959)
木下 秀雄 大阪市立大学, 法学部, 教授 (50161534)
庄谷 怜子 神戸女子大学, 文学部, 教授 (40071211)
武田 公子 京都府立大学, 福祉社会学部, 助教授 (80212025)
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キーワード | ドイツ / 社会扶助 / 就労扶助 / 失業 / 貧困 / モーツァルトプロジェクト / 活性化 / ジョブセンター |
研究概要 |
ドイツ連邦共和国では、社会扶助を受給している失業者への生活保障システムと就労援助システムの見直しが、急速に進んでいる。失業を減らすために、「活性化」を基本方針に、労働事務所(Arbeitsamt))と社会事務所(Sozialamt)を統合し、「ジョブ・センター」を創設する、また、失業扶助(Arbeitslosenhilfe)と社会扶助(Sozialhilfe)を統合し、「失業手当II」を創設することになった。 我々は、ビーレフェルト、デューレン、フレンスブルク、ブレーメン、フランクフルトにおける就労扶助の実態を調査した。さらに、4つのモーツァルトプロジェクトに関してヒアリングをした。それを通じて、我々は、つぎの成果を得ることができた。 (1)「失業扶助(Albeitslosenhilfe)」と「社会扶助(HLU)」との統合にむけた、具体的課題と先進事例を明らかにすることができた。「基礎所得」制度との関連も含め、給付水準、給付要件、実施主体など、金銭給付に関わる論点も把握できた。 (2)同時に、就労援助サービスにおける多様な展開を概観でき、労働事務所と社会事務所の統合にむけた手がかりと課題を把握できた。第1は、「協力義務」(Mitwirkungpflicht)が新たに運用上の前提として強調されていることの問題性であり、第2は、対人サービス(アセスメント、援助計画、ケースマネジメント)が各地で拡充され、ケースマネジメントに重点が置かれていることである。 (3)ドイツ公私扶助連盟やノルドライン・ヴェストファーレン州は、基礎自治体での経験をもとに、就労援助サービスの質を高める努力をしている。ケアマネージャの教育カリキュラムが作られている。 制度改革の規模はかつてなく大きいが、重要なポイントを明らかにすることができた。
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