研究概要 |
アジア通貨危機以降の韓国の経済回復に伴う経済構造調整を日本の経済構造調整と実態研究として比較しながら検討した。2回の韓国海外学術調査と,国内研究機関・企業訪問を中心に,インタビュウ形式で実態を把握し,文献研究から得られる情報を整理するための基礎的な作業を行った。 韓国での海外学術調査としては、第1回はソウル・プサン周辺の大学・研究機関を訪問して、資料収集・意見交換を行った。特に,韓国対外経済政策研究院では"Japan-Korea Free Trade Area and their Structural Reforms", July20,2001のセミナーを行い,多くの関係者と意見交換を行った。また,国際金融センターでは,金融協力について意見交換を行った。釜山大学・東西大学では釜山地域の経済構造調整について現地の情報を入手した。第2回は韓国自動車産業の構造調整の実態を把握するため,現代・起亜自動車および部品企業を訪問し,企業の見学とマネージャー・管理者との意見交換を行った。また,韓国自動車産業研究所および産業研究院において,韓国の産業構造に関する専門的知識の提供を受けた。 国内旅費を利用して,韓国経済との結びつきの深い九州地区の実態を調査,トヨタ自動車・セイコーエプソンの企業訪問によるインタビュー調査,およびアジア経済研究所等での資料収集を行った。広島大学に客員教授として訪問中のキム氏および国際連合大学高等研究所ワン氏からは,神戸大学でのセミナーなどによって韓国経済に関する専門知識を得,意見交換を行った。 以上の研究によって,韓国経済の構造改革の特徴、特に財閥の解体、金融システムの改革、製造業の再編成の3つにおける構造改革に対する実態のいくつかが明らかとなり,日本との比較も鮮明になりつつある。
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