研究概要 |
本研究では、韓国の改革について、特に財閥の解体、金融システムの改革、製造業の再編成の3つにおける構造改革に焦点を当てた実態研究を行った。今後重要となる「日韓自由貿易地域の形成と日韓の製造業の連携と住み分け」と「日韓通貨協力地域の形成と金融業の連携と住み分け」の関連で、日韓比較を背景にした実態研究を行った。(1)韓国の財閥解体の問題点から,コーポレート・ガバナンスのあり方,その近代化の必要を分析した。(2)韓国の金融再編の実態から,間接金融から直接金融にシフトする場合の金融システムにおける安定化の方向を明らかにした。(3)日韓自由貿易地域と製造業の分業形態の分析から,寡占的な分業とアジア地域における両国のイニシャティブの必要性を認識した。(4)日韓通貨協力地域の形成の可能性について、アジア地域通貨の方向で,EUのユーロとの比較を行った。平成14年度の海外学術調査としては、第4回(梨花女子大学、慶北大学、嶺南大学、韓国対外経済政策研究院、韓国自動車産業研究院、現代・起亜自動車など),第5回・第6回(ソウル大学,KIEP,漢陽大学,梨花大学,西江大学など),第7回(韓国金融研究院、韓国金融監督院、韓国経済研究院、韓国中小企業振興公団、(株)イリコム、(株)ENSDなど)を行い,通貨危機以降の韓国の金融・企業・労働・公共部門など4大部門の経済構造調整の成果と韓国の中小企業(ベンチャー企業など)の育成政策と日本との協力関係構築,さらに日韓の自由貿易協定など日韓の経済構造調整と経済協力に関する意見交換および資料収集を行った。また,韓国から2名の研究者を招いて,日韓コンファレンス「日韓構造調整と経済協力」を神戸大学経済経営研究所で開催(8月2日-8月3日)した。研究成果は、学会報告・雑誌論文で発表し,一冊の書物に集成している。
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