改革開放期における中国農村の社会経済変化と今後の発展可能性についての総合的研究-上海農村を事例として

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13572022
• 研究機関: 関西大学
• 研究代表者: 石田 浩 関西大学, 経済学部, 教授 (70148493)
• 研究分担者: 潘 志仁 大阪明浄大学, 観光学部, 助教授 (10340879) ; 小島 泰雄 神戸市外国語大学, 外国学研究所, 助教授 (80234764) ; 川井 悟 プール学院大学, 国際文化学部, 教授 (80177633)
• キーワード: 上海近郊農村 / 零細農業経営 / 「農業の産業化」 / 農地収用と転用 / 都市化と工業化 / 農村余剰労働力 / 農外就労 / 郷鎮企業の倒産

研究概要

平成15年度の研究実績は以下の通りである。8月11日〜25日の15日間、研究代表者の石田と研究分担者の川井・小島・播の計4名と、研究協力者の圖左・滝田の2名の計6名で上海市近郊の松江区農村2カ村、青島市近郊の莱西市農村2カ村、杭州市近郊の西湖区農村の2カ村の計6カ村で補完調査を実施した。調査の目的は、都市近郊農村で進行する工業開発区建設のための農地収用と耕地の急減と『農業の産業化」の実態、農村での工業化と都市化の進展にともなう各種農業問題の発生、農家余剰労働力の農外産業への移行の困難さ、内陸農村から都市近郊農村への出稼ぎ労働者の就労条件等々について詳細に分析することであり、アンケート調査とインタビュー調査とにより実態調査を行った。定例研究会は昨年度の3月17日、5月17日、6月28日、7月21日、9月21日、10月13日、1月27日〜28日の計7回開催し、調査資料分析に基づいて各研究分担者が個別研究を報告し、討論を行った。定例研究会のうちの1月27日〜28日は研究合宿であり、各研究分担者による研究成果報告論文の発表と討論を行った。また、2月17日には重慶社会科学院経済研究所の3名の研究者を招聘し、関西大学大学院棟尚文館において公開シンポジウム「上海近郊農村と内陸貧困農村における経済開発の比較研究とその経済的ケージ」を開催し、三十数名の参加を得た。公開シンポジウムでは石田と川井、萩尾千里(関西経済同友会)、そして重慶社会科学院の田豊倫・孫仁中・馬暁燕の計6名が研究報告を行った。研究成果報告書は本研究プロジェクトに参加した9名の研究者が論文を執筆しており、二百ページを超える大部の報告書となった。また、研究分担者は研究成果を次々と発表しており、今後も研究成果を継続的に発表していく予定である。

研究成果

• [文献書誌] 石田 浩: "中国都市農業の経済構造とその課題(上)-上海郊外農村の貧困と兼業化-"関西大学経済論集. 53・2. 1-20 (2003)
• [文献書誌] 石田 浩: "中国の経済開発と内陸貧困農村の拡大-重工業優先発展戦略と歴史的構造的貧困-"東亜. 435. 32-39 (2003)
• [文献書誌] 石田 浩: "中国都市農業の経済構造とその課題(下)-上海郊外農村の貧困と兼業化-"関西大学経済論集. 53・3. 23-45 (2003)
• [文献書誌] 石田 浩: "中国近郊農村の農地転用と農業の存在意義-青島郊外莱西市農村の調査事例-"関西大学経済論集. 53・4. 1-22 (2004)
• [文献書誌] 川井 悟: "華陽鎮農村,ああ!"現代中国研究. 13. 147-152 (2003)
• [文献書誌] 小島泰雄: "南京の外的拡大と内的分化"神戸市外国語大学外国学研究所研究年報. 40. 1-28 (2003)
• [文献書誌] 潘 志仁: "戦間期中国における日本レーヨン工場の賃金管理-東洋紡会社の事例研究-"関西大学商学論集. 48・3-4合併号. 133-149 (2003)
• [文献書誌] 石田 浩: "貧困と出稼ぎ-中国「西部大開発」の課題-"晃洋書房. 259 (2003)
• [文献書誌] 石原潤: "農村空間の研究(下)(小島泰雄)「中国農村における基層空間の編成と集団化」を分担執筆"大明堂. 465 (2003)
• [文献書誌] 坂倉篤秀: "さまざまな角度からの中国論(小島泰雄)「中国の出稼ぎと都市農村関係」を分担執筆"晃洋書房. 386 (2003)
• [文献書誌] 石原潤: "内陸中国の変貌 農村内部の不均等発展における村の役割を分担執筆(小島泰雄)"ナカニシヤ出版. 231 (2003)