本研究の目的は、保険代替スキームを含む、保険業における最近の動きが、個人保険契約者の利益増大に貢献するのか否かについて、明らかにすることであった。近年、世界各地で、巨額の経済的損失をもたらす自然災害が多発し、保険会社の保険引き受けキャパシティが著しく減少している。そこで、保険会社は、保険市場と金融市場を結びつけた保険代替スキーム(代替リスク移転)を開発することになった。従来からの伝統的な保険リスクとは異なる新たなリスク引き受けが保険会社に生じている。これらの新種リスクによって、個人の保険契約者の利益が損なわれることがないのかどうかを調査するのが、本研究の目的である。 4年間の研究期間の第3年度に当たる平成15年度は、とりわけ保険デリバティブに関して、次の研究を行なった。 (1)伝統的保険と保険デリバティブの比較に関する研究 (2)保険デリバティブの国際比較のための準備(国内での資料収集等) (3)保険デリバティブの国際比較のための実態調査(国内での調査と海外での調査) ・ヨーロッパでの保険デリバティブの動向に関する調査 ・昨年のドイツ東部、チェコ等の中部ヨーロッパでの水害による経済的被害と、それに対する保険会社の対応に関する調査 (4)3年間の本研究の成果を中間報告として作成した。
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