研究概要 |
昨年度の調査でシンガポールにおいては交通問題などでかなり注目すべき都市計画は見られた。マレーシアでは未だ系統的な研究が見られなかった。韓国においてはソウルに一極集中する人口に対応するだけで手一杯の行政の様子が分かったが、一方NGO等の市民団体や、都市計画専門家の力を得て、児童の通学路の安全を図る運動から通学路を見直すことで街を知り、それが一坪公園作り運動などに繋がり、大人達も巻き込んで行政を動かす原動力になっていったケースが見られ、児童に身近な問題から次第にまちづくりに視野を広げていく運動が実際に達成されていた。 市民団体の地位が日本と異なるとはいえ、行政主導ではないまちづくりの原点を見る思いだった。このような観点から、今年度は中国との情報交換や調査を加え、平成13年度からの海外調査結果をもとに、学校・NPO(専門家)・企業及び行政の体制等の比較と評価を行った。 (1)日本における「子供のまちづくり」手法の構築 a)公立中学校における「まちづくり学習」の集大成として現場の教師用テキスト「まちづくり賛歌」を出版したが、実際は専門的知識のあるボランティアの助力なしに継続的に当該プログラムを実施するのは困難である。この事実をふまえ、さらに新しい継続的な教育プログラムの工夫についてとりまとめた。 b)日本各地で様々な団体、研究者によって行われている「子供のまちづくり学習」について,誰がどこで何を行っているかについてとりまとめた。しかし各実践者が情報を共有する仕組みが一部を除き確立されていない。そこで,学校(教育関係者)・NPO(専門家)・行政・家庭・研究者が相互補完できるような支援体制の構築の仕方について,海外の実例等も考慮し,日本における情報共有ならびに共同研究組織としての支援体制について提言を行った。
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