研究概要 |
1.海外における現況調査は、平成13年度は英国とフィンランド、平成14年度は米国、台湾、平成15年度は東南アジア、韓国、平成16年度は中国において行った。「子どものまちづくり」教育という観点で調査を進めていくと、やはり欧州諸国が先進的な手法をすでに様々な形で実施していることが確認できた。充実した指導書なども入手しその分析をすると同時に専門家集団へのヒアリングも行った。米国においては明確な「まちづくり教育」は存在しなかったが、「子どもの権利」教育の一環として市民意識、コミュニティ意識などが育つ土壌があることが確認された。一方、訪問したアジアの各地では未だにこのような学習において系統的な研究が見られなかった。ただ、韓国においてはNGO等の市民団体が都市計画専門家の力を得て、児童に身近な問題から次第にまちづくりに視野を広げていく運動を実際に達成した事例も確認できた。以上の海外調査結果をもとに、各国の学校・NPO(専門家)・企業及び行政の体制等の比較と評価を行った。 2.平成13年度は次年度に義務教育課程で施行される「総合的な学習」のテーマの一つとして「まちづくり学習」が確立されるように、東村山第七中学校において継続的に実践してきた研究を、子ども・学校の先生・ボランティアスタッフの3者に対するツール及び授業カリキュラムについて提案することを目的としてさらに継続した。平成14年度においては当該中学において1,2年生全員の必修カリキュラムとして正式に採用となり定着する方向になった。同時に、テキストの作成・提供の必要性を痛感し、平成15年度初めに現場の教師用テキスト「まちづくり賛歌」を作成、出版した。しかし実際は専門的知識のあるボランティアの助力なしに継続的に当該プログラムを実施するのは困難である。この事実をふまえ、最終年度はさらに新しい継続的な教育プログラムの工夫についてとりまとめた。
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