研究課題/領域番号 |
13572029
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
清水 裕之 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (30187463)
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研究分担者 |
大月 淳 名古屋大学, 環境学研究科, 助手 (20293673)
有賀 隆 名古屋大学, 環境学研究科, 助教授 (60303658)
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キーワード | 文化施設整備プロセス / データベース / 文化經済学 / 社会システム / 劇場システム / 芸術進興 / 地域発展 |
研究概要 |
本年度はまず、韓国の舞台芸術施設に対するデータベースの整備を行った。そこでは、韓国文化観光部の舞台芸術施設の分類に従えば、「文化芸術会館」211施設(318ホール)、「一般公演場」217施設(257ホール)、「小劇場」154施設(156ホール)の計582施設(731ホール)を収録した。 また、3月には4日間(3泊4日)韓国舞台芸術施設の現地調査を行った。韓国の南部地域に設置されている慶尚南道文化芸術会館(晋州市所在)、蔚山文化芸術会館(蔚山広域市所在)、釜山文化芸術会館(釜山広域市所在)の3施設を対象に施設の現況調査ならびにヒアリング調査を行った。それらの地方の公立文化芸術会館は中央政府の影響力が薄く、地方自治体制の胎動・発展と伴って開館・運営され、地域の発展や地域住民・芸術家と密接な関係を持っていることが事前の調査から明らかになっている。本研究においては中央と地方の社会システムや劇場システムの比較分析を行うことを想定しており、本年度は地方に着目した。今回、特に慶尚南道文化芸術会館については、管理体制が道(慶尚南道)から市(晋州市)へ、また市から受託管理法人(一善学園)へと変わってきた韓国ではごく珍しい事例であったため、韓国の文化政策の変化を把握する一つの例として取り上げた。ヒアリング調査で明らかになった主な内容を以下に示す。 3施設ともに「貸し館事業」の比率が高い。組織の構成では、慶尚南道文化芸術会館は受託管理法人からの任用で成立しており、ある程度専門化されているが、他の2施設に関しては、市からの行政公務員主体であり、専門化が進んでいない。施設の財政面では、慶尚南道文化芸術会館については、受託管理法人の所管でありながら市(晋州市)からの運営予算を受けて運営しており、他の2施設に関しては100%広域市の予算で運営している。今後の展望として、「財政面で非常に厳しい状況であるため、それほど明るくない」「舞台芸術専門家の不足が深刻である」「技術スタッフの養成システムが早く行われてほしい」などの意見がある。
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