高齢者のプロダクティブ・エイジングで発揮される身体資質に関する国際研究

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13572035
• 研究機関: 北海道大学
• 研究代表者: 須田 力 北海道大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (90091470)
• 研究分担者: 森田 勲 北海道医療大学, 看護福祉学部, 助教授 (70118165) ; 浅尾 秀樹 北海道浅井学園大学, 短大部, 教授 (70331238) ; 所 伸一 北海道大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (50133682)
• キーワード: 高齢者 / プロダクティブ・エイジング / 身体資質(physical resources) / 社会的プロダクティビティ / 積雪環境 / 国際研究者交流

研究概要

1.研究活動
(1)大学生と高齢者の身体資質と身体パフォーマンスの関係の差異に関する研究
積雪地の日常生活の中で遍く行われているショベル除雪は、運動強度が高く筋力とパワーが要求されるにもかかわらず若い年齢層よりも高年齢者層の方が従事している。そこで、北海道内の大学生と高齢者を対象に体力とショベル除雪作業を模した投擲パワーを測定した結果、除雪のような一見単純な動作の積み重ねの運動においても身体資質の低い高齢者が大学生と同等以上のパフォーマンスを発揮している特徴が見られ、高齢者は身体資質が低くてもそれを有効に生かす潜在力を備えていることが明らかにされた。
(2)積雪地における高齢者の身体資質と社会的プロダクティビティ
北海道各地の市町村の高齢者のライフスタイルと身体活動の調査と体力を実施し、積雪地における高齢世帯の自立生活に大きな影響力を持つ除雪能力には、筋力、脚パワー、持久力の体力要素の関わりが大きいこと、女性高齢者においてボランティア活動など社会的生産性に関わる活動に参加している群は参加していない群に比較して筋力、持久力および身体的ADLが有意に高い特徴が見られる一方、男性の場合、このような関係が見られないことが明らかになった。
2.成果の発表
ロシア連邦サハリン大学、中国ハルピン学院の海外研究協力者と行った高齢者のライフスタイルと身体活動に関する調査結果を第8回ヨーロッパスポーツ科学会(ECSS))で発表(須田ら)、サハリンの高齢者の自立生活能力(ADL)と体力に関する研究結果を第8回ヨーロッパスポーツ科学会(ECSS))で発表した(浅尾ら)。北海道における高齢者の体力と自立生活に関する調査測定結果を第11回日本運動生理学会(須田ら)、北海道における高齢者の身体資質とプロダクティビティについて日本体育学会第54回大会で発表(須田ら)

研究成果

• [文献書誌] Suda T., Asao H., Morita I.et al.: "Lifestyle and physical activities of older adults in Northeast Asia"Abstract Book of 8^<th> Annual Congress European College of Sport Science. 440-441 (2003)
• [文献書誌] Asao, H., Suda T., Ishikawa, T.et al.: "Physical activity and health-related fitness of older adult females in Sakhalin (Russia)"Abstract Book of 8^<th> Annual Congress European College of Sport Science. 272 (2003)
• [文献書誌] Suda T.: "Physical resources required for the independency of the elderly living in snowy regions"Advances in Exercise and Sports Physiology. Vol.9, No.4. 153 (2003)
• [文献書誌] 森田勲, 山口明彦, 須田 力: "北国の生活で求められる高齢者の体力づくりについて"体力科学. 52巻6号. 961 (2003)
• [文献書誌] 須田 力, 浅尾秀樹, 森田勲他: "積雪地における高齢者の自立生活で発揮される身体資質について"高齢者問題問題研究. 19巻(印刷中). (2004)
• [文献書誌] 須田力, 佐久間一郎, 浅尾秀樹他: "本道高齢者の無雪期と積雪期の身体活動について"(財)北海道体育協会スポーツ科学委員会報告書. 23. 27-34 (2003)
• [文献書誌] Suda, T., Asao H., Moriya, K.(Eds): "Physical activity, health promotion, and regional development in Northeast Eurasia"Kyodo Bunkasha. 104 (2003)