研究概要 |
本年も台北,香港、韓国におけるホームレス支援活動の実態を、日本で報告してもらうために,8月に東京と大阪で開かれた第3回東アジアオルタナティブ地理学会議EARCAGにおいて、East Asian Experiences for Tackling with tbe Urban Poor and Homelessのワークショップを組み,1国2地域からの支援者,研究者をよび,情報の相互交換,および現地巡検をおこなった。東アジア先進地域の都市ホームレスの支援施策の開発という緊急課題のもとに,日本側でも調査を進め,9月には福岡市で総合的な聞き取り,現地調査を行い,大阪を活動の基盤としていた本研究グループにおいて,地方での実態を知る貴重な機会となったともに,福岡県のホームレス施策実施計画の作成にも関与した。また大阪を中心に,特に自立支援活動に精力的な聞き取りを繰り返しながら,同時に韓国,台北の事例のまとめの作業に入った。1月には,ソウルを訪問し,「日韓ホームレス実態と居住支援に関する国際セミナー」を,韓国保健社会研究院、韓国都市研究所,全失露協、ホームレスの福祉と人権を実践する人々(ノシルサ)などとの共同主催でセミナーを行った後,自立支援にたずさわるさまざまな組織,協会,個人を訪問した。98年にアウトリーチ,アセスメントセンター,自立支援センター、自立の家というシステムを作り上げ,失業野宿者をほぼたたみの上に上げた実績を上げたと同時に,路上に500人前後はどうしても残る中で,路上生活者への政策的認知がいよいよはじまったという事態の進行ぶりは,すぐ将来の日本の自立支援政策を暗示していると思われる。膨大な聞き取り結果は,活字化して,実績報告書にもあげたが,今後の日本の自立支援政策の充実に,貴重で情報量の多い内容となった。
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