研究課題/領域番号 |
13573003
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
川上 紳一 岐阜大学, 教育学部, 助教授 (80183036)
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研究分担者 |
豊田 和弘 北海道大学, 大学院・地球環境研究所, 助教授 (10207649)
大野 照文 京都大学, 総合博物館, 教授 (40194245)
高野 雅夫 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90262849)
能田 成 熊本大学, 理学部, 教授 (30065841)
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キーワード | 原生代 / ナミビア / 気候変動 / 炭酸塩岩 / 氷河堆積物 / スノーボール・アース仮説 |
研究概要 |
本研究は、ナミビアの原生代後期の氷河堆積物とそれを覆う縞状炭酸塩岩(キャップ・カーボネート)の野外調査ならびに地球化学的分析を行って、スノーボール・アース仮説を検証することを目的としている。 2001年7月から8月にかけて、ナミビアのカオコーランドで地質調査を行い、約850キロの岩石試料を採集した。ナミビアには原生代後期の氷河堆積物が2層準あり、下位のものはチュオス氷河堆積物、上位のものはガーブ氷河堆積物と呼ばれている。いずれも炭酸塩岩で覆われている。我々は、下位の氷河堆積物を覆うラストフ累層の最下部14mに1メートルオーダーのカルサイトとドロマイトの堆積サイクルの地球化学的分析を行ってきた。今回の調査では、8地点で同様のサイクルが認められることを確認し、試料を採集した。その中で、カルサイトとドロマイトからなる互層が未固結状態で地滑り変形を受けた露頭を発見した。これは、これらの鉱物が地層形成直後から存在したことを示唆している。初生的ドロマイトの発見は、スノーボール・アース仮説の検証するうえで、重要な物証になる可能性がある。 一方、上位のガーブ氷河堆積物を覆っては、パイプ状の構造をもつ炭酸塩岩が分布しており、カイルバーグ・メンバーと呼ばれている。我々は、氷河堆積物とカイルバーグ・メンバーの間に縞状炭酸塩岩層が堆積しており、縞状炭酸塩岩層とガスエスケープ構造をもつ炭酸塩岩は不整合的接していることを発見した。しかも、この不整合関係はカルスト的である。ガスエスケープ構造は、スノーボール・アース仮説では、二酸化炭素ガスが抜けたときにできたとされるが、対立する仮説ではメタンガスがぬけたときにできたとされている。ガスエスケープ構造をもつ炭酸塩岩層の下位のカルスト不整合面の存在は、これらの仮説の検討する重要な材料となるものと期待される。
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