研究概要 |
北オーストラリアの巨大積乱雲と大気重力波の観測 プレモンスーン期に、ダーウィン沖のTiwi諸島に発生する巨大積乱雲(ヘクター)と、ヘクターから発生する大気重力波の観測を2001年10月-12月にかけて行なった。本観測は国際共同観測として行なわれ、3時間間隔でラジオゾンデを放球すると同時に、気象レーダー、境界層レーダー、大気光イメージャーによる観測を行なった。現在、観測結果の解析が進行中である。本観測時は、赤道域準2年周期振動の位相が高度25km前後で東風であったが、この東風のピーク付近の高度で波動の振幅が小さく、上下で大きくなっていることが観測された。本観測では鉛直波長が5km以上で慣性周期より長い周期を持つ波動と、鉛直波長5km以下の大気重力波が観測された。ホドグラフ解析より、後者は主に南向き伝播が卓越することが示された[Tsuda et al.,投稿準備中]。また、気象レーダー観測よりヘクターイベントの強度と到達高度が調べられた[May et al.,投稿準備中]。 北オーストラリア大気境界層日変化の解析 先ず、北オーストラリアの乾期に関し、ダーウィン市における境界層レーダーデータの解析を行なった。その結果、夜半に海陸風的な循環が卓越するという興味深い現象を発見した。NCEP客観解析を交えて詳細な解析を行なつた結果、最近数値実験で存在が予言された、熱低気圧に伴う夜間の低気圧性循環強化に対応することがわかった[Hadi and Horinouchi,投稿中]。
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