研究分担者 |
山北 聡 宮城大学, 教養文化学部, 助教授 (80210342)
小嶋 智 岐阜大学, 工学部, 教授 (20170243)
伊藤 谷生 千葉大学, 理学部, 教授 (50111448)
鈴木 典毅 東北大学, 大学教育研究センター, 助手 (60312542)
大藤 茂 富山大学, 理学部, 助教授 (60194221)
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研究概要 |
日本海拡大前の東アジアの地体構造復元において重要な位置をしめる,極東ロシア,シホテアリン山地の地質調査を行い,また,ロシア側研究者との情報交換・意見交換をおこなった.地質調査は,シホテアリン山地中央部をしめるジュラ紀〜初期白亜紀付加体(サマルカ帯・タウハ帯)と白亜紀浅海堆積物(ズラブレフカ帯)を主要な対象としたが,ロシア側の都合で,来年度予定のハンカ地塊の一部も調査対象に加えた.地質調査に際しては微化石年代検討のための珪質岩・泥質岩試料および砂岩組成検討用の砂岩試料などの採集もおこなった. サマルカ帯は西南日本の美濃-丹波帯に対比されているが,これらの中に,舞鶴帯や超丹波帯に対比される部分があるのではないかとの作業仮説をもって調査にあたった.Malinovoの南のMalinovka川流域を中心とする地域には,主として砂岩・頁岩・酸性凝灰岩が分布し,堆積岩類はしばしば強く変形し,顕著な面構造が発達する部分も認められることがわかった.しかし,ロシア側文献にあるような顕著なメランジュ層は見いだされなかった.また,持ち帰った砂岩試料を検討した結果,砂岩は淘汰の悪いグレイワッケで,構成粒子として岩石片を最も多く含み,石英,斜長石,カリ長石を伴うこと,岩石片は酸性火山岩・頁岩が主体であることがわかった.頁岩は暗灰色あるいは明灰色のものが多く,塊状のものや砂岩と互層するもの,砂岩をレンズ状に含むものがみられる.酸性凝灰岩は淡緑色を呈し,頁岩と互層する.このような岩相構成と砂岩組成の特徴は超丹波帯の構成岩類と類似する.微化石は再結晶のため同定可能なものは見いだせなかった. ハンカ地塊では,ハンカ湖南方のスパスク帯構成岩類を検討したが,ここでもメランジュとされていたものは強く変形したカンブリア紀の礫岩であることが確かめられた.
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