研究課題
基盤研究(B)
チベット縁辺に分布する変成ドームには、中部地殻で形成された岩石は地表に露出し、これらの地域はチベット高原の形成プロセスを理解するために重要な情報を内在している可能性が高いが、いままで殆ど調査されていない。我々はこの空白域を埋めるために変成ドーム域での野外調査や室内実験を行ってきた。また大陸衝突帯や沈み込み帯の深部で起こっている一般のプロセスを究明するために関連する他の地域の研究も行ってきた。変成ドームについて次のことを明らかにした。変成ドームの定義南チベットに分布する大局的に楕円形をなす変成・深成岩の複合岩体である。変成ドームの中央には花崗岩体が存在し、それを中心として同心円状にバロ型変成作用は分布市する。主要変形は2段階(D1,D2)を区別できる。D1は地殻増厚をともなうtop-to-the-south剪断センスを示す。一方、D2は地殻薄化をともなうtop-to-the-north剪断センスをしめす。D2は花崗岩に向かって強くなるので、変形と花崗岩定置は関係していると推測される。また、D2は大きな正断層であるSTDと対比できる。ドームの形成年代変成ドーム形成は約20-10Ma、ヒマラヤ造山運動時代であるが、中央花崗岩は約500Maでありヒマラヤ造山運動に関係がないと考えられてきた。そのために、花崗岩形成とドームの変成・変形作用との関係に関するモデルを検証することはできなかった。しかし、マーラシャン変成ドームの花崗岩は約18Maに形成されたことは今回の研究で明らかになった。また、チベット南部に分布する変成ドーム群は数多くの類似点があることから、すべての変成ドームに若い花崗岩体があると我々は提案した。その結果、初めて花崗岩形成と同心円状に分布する変成作用、また花崗岩に向かって強くなるD2変形との関連性についてモデルを検討することは可能になった。ドーム形成とヒマラヤテクトニクス花崗岩貫入は次のように変成ドームの特徴を説明できる。ドーム周囲に存在する変成作用は接触変成作用である。また、温度上昇による岩石強度の低下により、D1が示す地殻増厚からD2が示す薄化に変わったので、D2は花崗岩に向かって強くなる。収束プレート境界における伸長テクトニクス(D2)の駆動力はヒマラヤ山脈の傾斜面と岩石に働く重力にある.
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