研究課題/領域番号 |
13573012
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
谷口 宏充 東北大学, 東北アジア研究センター, 教授 (70125251)
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研究分担者 |
宮本 毅 東北大学, 東北アジア研究センター, 助手 (90292309)
長瀬 俊郎 総合学術博物館, 助教授 (10237521)
成沢 勝 東北大学, 東北アジア研究センター, 教授 (00180539)
北村 繁 弘前学院大学, 社会福祉学部, 講師 (60214813)
中川 光弘 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50217684)
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キーワード | 白頭山 / 10世紀噴火 / 歴史効果 / 日中韓共同研究 / 伝承 / 火山地質 |
研究概要 |
中国と北朝鮮との国境に位置する白頭山は、活動的な大規模火山であり、アジアの大陸地域では他にあまり例をみない.この火山は10世紀に大規模な爆発的な噴火を発生し、そのときの噴出物は日本の東北地方〜北海道にまで到達している.噴火規模の大きさは過去2000年間では世界最大級といわれており、当時、周辺に栄えていた王朝などが大きな打撃を被ったことが推定される.事実、926年の渤海王国の滅亡は、この噴火が関与しているのではないか、という仮説も生まれている. このため、我々のグループでは10世紀噴火について、その正確な年代の特定、噴火推移と広がりとの正確な把握、そして噴火が地域住民に与えた影響を自然科学的、人文科学的な調査・検討にもとづき明らかにしようとしている.その結果、各々の項目について以下のような結果が得られつつある. 同噴火に由来する火山灰は国内ではB-Tmテフラとして知られており、その直下にくる十和田火山起源のテフラとの関係で、及び噴出物中の天然木炭の炭素14年代で噴火時期が論じられてきた.残念なことに、それらによって推定された噴火年代は〜100年におよぶ幅を持ち、歴史とのかかわりを知る上においては特定できていない.今後、ウイグルマッチング法による精密化を試みる予定である. 10世紀噴火の推移はかなり把握されてきた.従来の研究との相違はいくつかでてきているが、噴火に数カ月の休止期間があったことや、土石流の広い分布などが明らかになりつつある.同噴火を間接的に記録保存しているとも考えられる.周辺地域の満族や朝鮮族の古い伝承がみつかりつつある.伝承中の物語りは、地質調査にもとづく実際の噴火の推移に対して極めて調和的であった.
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