研究概要 |
本年度の研究実績は次の二つに大別できる。先ず一つ目は、昨年度までの3年間の研究を踏まえて、アジアの土地被覆グランドトルースデータベースを作成したことである。二つ目は、今後のグローバル土地被覆マッピング関連の研究の重点方向を探るため、現在の研究の傾向を分析し、今後の方向性を明らかにした。 現在のグローバル土地被覆マッピングの傾向と方向性はつぎのとおりである。 (1)分類項目legend : IGBPの17分類では、必ずしも多くのニーズに答えられないとして、新たな分類項目がプロジェクトごとに検討されている。これらの複数のlegendを関連付けるツールとしてFAOの、LCCSが意味を持ってくると考えられる。 (2)グランドトルースデータ:従来、土地被覆グランドトルースデータは使用された後、プロジェクトの内部に隠れて、公開されることはなかった。マッピング対象がグローバルとなった現在、グランドトルースデータは異なるプロジェクト間で共有し、蓄積、改良していくべきである。本研究代表者はGlobal Land Cover Ground Truth (GLCGT)データベースの構築を提唱し、アジア部分を公開している。 (3)検証:土地被覆マッピングの結果の検証が重視されている。最近の傾向は視覚判読による定性的検証と検証用データに基づく定量的検証の併用である。検証用データはランダムにサンプリングされることが望ましく、そのデータの整備には多くの労力が必要となる。 (4)分類手法:分類は教師なし分類あるいは特徴的な時期のカラー合成画像のラベリング(分類項目の当てはめ)、またはトレーニングデータ(グランドトルースデータ)を用いた教師付き分類の双方が利用されている。どの分類手法が優れているかの比較議論より、分類成果の検証方法、検証結果が重視される傾向がある。 (5)衛星データ解像度:AVHRRデータの1kmで始まったグローバル土地被覆マッピングは500m,250mに改善されようとしている。ここ10年以内に、グローバル100mデータが視野に入ると考えられる。
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