研究概要 |
台湾は、地形的にも日本と類似点が多く、また過去にも地震被害を数多く経験してきている世界でも有数の地震国である。このことから、活断層の調査や強震計の配置密度、さらには構造物に対する耐震設計の高度化などに声いても、世界でもトップクラスに近い水準を有している。したがって本研究では、集集地震被害の全容を現地調査するとともに、将来発生すると予測されている東海地震や首都圏直下地震による地震防災対策に貢献することを目的としている。本年度に得られた成果を要約すると以下のようになる。 1)地震動の生成・伝播・増幅特性メカニズムの解明:台湾集集地震の被害地域を対象として,基盤形状および表層地質解明・特にS波速度構造の推定のための微動調査を現地で実施した。不均質地盤構造における地震動に関する高性能数値シミュレーション手法を開発した。数値シミュレーション手法としては,有限差分法(FDM),有限要素法(FEM),境界要素法(BEM),離散化波数法(DWNM),波線法など,およびそれらの方法を組み合わせたハイブリッド手法の比較検討し,構造物設計用の強震動評価に最適な手法を検証した。 2)断層変位に基づく構造物被害の推定法の確立と構造物の設計法の開発:地表面に現われた断層変位量と地震の規模との関連を明らかにするため、起震断層面でのスリップ量と地表面での断層変位量との相関性に検討を加えた。検討項目は震源パラメータである断層面積、スリップベクトルの方向と量、地殼の剛性、断層のタイプ(正、逆、ストライク等)、基盤岩の上の地層構造とその厚さと剛性などである。収集されたデータに基づく相関解析だけでなく、数値解析的な方法による断層変位量の地表面における推定精度についても検討を加えた。
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