研究課題/領域番号 |
13574003
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
横田 漠 宮崎大学, 工学部, 教授 (90037888)
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研究分担者 |
瀬崎 満弘 宮崎大学, 工学部, 助教授 (80136803)
秋吉 康弘 宮崎大学, 農学部, 教授 (30041031)
田辺 公子 宮崎大学, フロンティア科学実験総合センター, 講師 (00179805)
中川 啓 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (90315135)
神野 健二 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (80038025)
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キーワード | 砒素汚染 / 地下水 / バングラデシュ / 地下水流動 / 砒素除去 / 鉄酸化 / 共沈 |
研究概要 |
1.砒素汚染の循環モデルの検証 現地における揚水試験により地下水の流動解析に必要な貯留係数や透水量係数などを求め、年間の地下水挙動の再現は昨年度までの研究で終了している。今年度は、灌概用に汲み上げられた地下水に含まれる砒素の流れを追跡するために、稲や水田土壌中における砒素の蓄積状況を分析した。その結果、砒素は95%が根に蓄積され、米には0.27mg/kg(根の0.2%程度。宮崎県内の米の砒素含有量は0.17mg/kg)であった。 また、バングラデシュにおける米経由の砒素摂取量を求めれば、約0.14mg/日となる(米の摂取量は500g/日程度)。一方、飲料水は(料理の分も含んで)4L/日程度、消費されるので、水経由の砒素摂取量は0.05mg/L(飲料水基準値)×4L/日=0.20mg/日となる。従って、米からの砒素摂取は許容限度以内ということがわかった。なお、水田土壌中の砒素含有量は20mg/kg程度であり、通常の表土の2倍程度であった, 2.砒素除去装置の性能および砒素汚泥の処分 バングラデシュで建設した砒素除去装置は2基とも、この1年間、良好な水を提供し続けている。また、メンテナンス手法として、(1)砂利槽からの排水(1回/10日)、(2)砂層表面の切削(1回/月、1cm厚さ)、(3)砂利槽の洗浄(1回/3ヶ月)を確立した。 さらに、砂利槽から排出される汚泥の処理・処分方法を確立するために、同汚泥の砒素溶出実験を行った。その結果、汚泥中からの砒素溶出割合はわずかに5〜10%であり、地下水から除去された砒素の90〜95%は汚泥中に閉じ込められることがわかった。汚泥にセメントを少量(10%)添加すれば、砒素の閉じ込め割合は97〜98%にものぼることもわかった。 「砒素除去装置から排出される汚泥からは砒素はほとんど溶出しない」ことが判明したので、同汚泥の処分の見通しがついた。例えば、地中に簡単な貯蔵空間をつくって、そこにおいておくだけでもよい。今後、その具体化を図ってゆきたい。
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