研究分担者 |
二瓶 泰雄 東京理科大学, 理工学部, 専任講師 (60262268)
大石 哲 山梨大学, 工学部, 助教授 (30252521)
浦瀬 太郎 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (60272366)
波利井 佐紀 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 助手 (30334535)
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研究概要 |
1)マニラ湾/ラグーナ湖連成系の水理・水質・生態環境調査および数値シミュレーションモデル開発 マニラ湾及びラグーナ湖の水理・水質環境に関する調査として,昨年度の調査が主として雨季において実施したものであることから,本年度は乾季を対象として調査を行った.その結果,乾季の終わり(5月上旬)のラグーナ湖水位が最も低くなる頃,マニラ湾側からパッシグ川を遡って海水が逆流し,ラグーナ湖内の塩分が上昇する時期があることなど,きわめて特徴的な現象を捉えることに成功した.また,これらの水理・水質環境調査に平行して,昨年に引き続いて,マニラ湾とラグーナ湖の流動シミュレーションのための基本モデルを開発した.このうちマニラ湾に関しては,灘岡・二瓶らによる3次元海水流動モデル(Dual-σPOMモデル)をベースとし,ネスティング法や非静水圧分布導入の効果などを検討した.またラグーナ湖に関しては田村・灘岡による準3次元浅水乱流モデル(SDS-Q3Dモデル)をベースとし,それにラグーナ湖内に数多く存在する養殖池(fish pen)の流体力学的な効果を導入する方法を検討し,そのための現地調査を実施した. 2)重金属に着目した周辺流域を含めた物質循環調査 2002年3月に採取したパッシグ川およびラグーナ湖の底泥の粒径分布および重金属の分析を本年度行った.ラグーナ湖の重金属濃度は比較的低く,パッシグ川では,一部の元素で高い値が観察された.これまでのマニラ湾での結果と合わせてこの地域における底泥中の重金属の分布が明らかになった.分布の傾向が強く人為的影響を受けている鉛について,その起源の一つとして道路脇粉塵を考え,道路脇粉塵の分析を行った結果,粉塵中の鉛濃度はわが国の環状八号線の粉塵中濃度と大きな差はないことがわかった.道路率などを加味して,鉛の環境への負荷量を路面排水について概算し,廃棄物の処分場から負荷される鉛の量と比較した.さらに底質形成に関連する水中微粒子の凝集沈殿過程を明らかにするために,2003年2月にこの地域の水の採取および解析を行った.
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